「愛と感動のハートウォーミング百合映画!」スキン・コレクター コマさんの映画レビュー(感想・評価)
愛と感動のハートウォーミング百合映画!
幼き日に父が若い女と駆け落ちし、母が父に捨てられたのは老化のせいだと考えて、加齢に異常なほど拒絶反応を起こすようになってしまった主人公キラ・メイボン…。
ある日突然、皮膚が老化してヒビ割れていく原因不明の難病にかかってしまう。隣人のソフィアに励まされながら通院を続けるが、担当医のババア、クローバーは、とんでもねえ秘密を隠していやがった…!
怖くはない。グロも突然驚かすシーンもない。でも見ていて辛い。それは、終始見る側がキラに感情移入できるように描かれているから。目線はいつも襲う側なので怖いわけがない。でも辛い。キラは殺したくて殺してるんじゃないから。他人の皮を剥くのも、自分の皮を剥くのも嫌に決まってる。ただ普通に綺麗を保って生きたいだけの、普通の女の子。
ただのシリアルキラーものかと思っていたら、珍しいどんでん返しもあったし百合以外の部分も楽しめました。
ラストは悲しいけど、最後の最後にキラが「私は貴女と生きたいだけ。ただそれだけ」って言えたのは本当に良かった。ずっと外見にこだわって生きてきて、ついに怪しい実験にまでボランティアで参加したあのキラが、ソフィアに出会えて変われたんだと。ボロボロになった皮膚ごとキラの身体を抱き締めて、「おぞましいでしょ」って言葉に愛してる、大丈夫って応えてくれるソフィアがいたから。最後の瞬間は、美しさのためでなく、ただソフィアと普通に生きる未来のためだけに新しい皮膚を求めた。泣ける。ソフィアも強い。愛情深い。そんなキラと一緒に逃げることで、キラがこれ以上罪を重ねて、その心まで化け物になってしまう前に…。泣ける。
若かった頃に出会ったのがジョナサンじゃなくてソフィアだったなら、こんな結末にはならなかっただろうに。