ハッピーエンドのレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
象徴的なラストから無音のエンドロールがはじまった瞬間、全てを物語っているようで、失笑で吹き出してしまった。
目の前からの無関心の象徴と言えるであろう、インターネット、SNSを通して垣間見る、ヨーロッパの上流階級の家族の物語。あちらからもこちらからも火の手が上がっているが、誰もが気にかける事なく物語が進行して行く。内側で手がつけられない事になってるのに、移民や使用人に偽善的な態度で体裁を保ち、愛に飢えた矛先は、インターネットの中に向かって行く。
現実を取り繕い、責任の伴わないインターネットに現実を求める。
失笑しておいてなんだが、足元を見て実はヒヤッとした。
白鳥
幻想
待ってましたハネケ様!
家族のやりとりに放り込まれる
危なっかしいものを孕んだ人間が多く、何か事が起こっても少し置いてきぼりにされつつ何となく最小限に説明されてあとは察する、という流れが幾度も続くので一瞬たりとも目を離せなかった。
分かりにくいことこの上ないつくりだけど面白かった。
基本長回しのカメラとあまりにも自然な演技によって、この家族のやりとりと生活の中にポツンと放り投げられたような感覚になった。
こんなにも近くに感じる映画って今までなかなか出会った事がなかった。
登場人物それぞれ今誰が何を考えているのか一つ一つ想像して後で紐解くのがゾワゾワして気持ちいい。
上っ面でよそよそしい感じの家族だけど、私はここに全く愛が無いとはどうしても思えなくて、自分の中の欲求と苦悩と抑制とのバランスを取りながら何とか生きているような家族の話だと思った。
「愛、アムール」を観ていたらもっともっと感じ方も違ったかも。
おそらく死を望んでいるジョルジュと愛を感じたことのなさそうなエヴが対話するシーンや最後のシーンでなんだかすごく緊張した。
分かり合えてるのかな?とも思ったけど、自分や他人の命を操作する・操作しようとするとき、曇りがあるか無いかでだいぶ違うだろうし。
最初から最後まで特に変わることのないエヴの態度が好き。やっぱりスマホが良いよね。
余白が多いし正直分からないことも多いので観た後色々考えめぐらして楽しめる。
張り詰めた空気がずっと流れているので飽きずにいられたのも良かった。
食事のシーンとアンヌが恋人とさりげなく手を繋ぐシーンがとても好き。
誰にとっても特に幸せではなさそうな終わり方が良かった。
あとは私がフランス語のネイティヴだったら何気ない会話や言葉のニュアンスを正しく受け取れたかもな…
ハッピー?
冒頭のシーン、ヤバイでしょ。
小動物、調教できるものなのかな?リアルなのか、CGなのか、ザワつくシーンです。
でも、それが後半までの伏線となっているのです。
これ、ファミリーというよりは、サスペンスじゃないですかね〜
ヤバイこどもの成長記録とでもいいますか。とにかく、ハッピーとはほど遠いかもしれない映画です。
しあわせな最期の来ないエンディング
前作『愛、アムール』から5年、そろそろ嫌な思いのする映画を撮る順番だとミヒャエル・ハネケ監督自身が言ったという。
フランス北部の大邸宅、ロラン一家。
老主人ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は事業を娘アンヌ(イザベル・ユペール)に譲って引退している。
息子のトマ(マチュー・カソヴィッツ)は医師で、前妻との間に13歳の娘エヴ(ファンティーヌ・アルデュアン)がい、現妻アナイス(ローラ・ファーリンデン)との間には幼子が生まれたばかり。
何不自由ない生活のように思えるが、それぞれに問題を抱えている・・・
といったところから始まる物語で、全編長廻しのカメラで取られた映像は、当初、何が起こっているのかが掴みづらい。
冒頭、スマホでバスルームの様子を盗撮している。
女性が、洗面所で吐き、口をすすぎ、用を足す。
精神的に不安定な様子で、その画面の上に撮影者と誰かがやり取りしている小さな文字が出ては消えていく。
被写体の女性はエヴの母親(トマの前妻)で、精神を病んでいることが後にわかる・・・
と万事このような語り口で、ある事象が映され、その後に、その事象についての説明のような描写が登場する、といった具合で、なかなか状況を理解するのが難しい。
が、それぞれが抱える(隠している)問題がわかってくると興味が湧いてき、後半、ジョルジュの過去が明かされると、本作が『愛、アムール』のハイドストーリーのような趣であることがわかるが、そうなるころには映画の3分の2ほどが過ぎてしまっていました。
うーむ、さてさて、これを面白いといえるのかどうか。
タイトルは、映画のハッピーエンディングの意味ではなく、文字どおり「しあわせな最期」。
しかし、そんなものは訪れない。
「しあわせな最期」を迎えることができなかったジョルジュとロラン一家・・・
これまでの諸作ほどの衝撃はないけれども、嫌な思いは結構しました。
陰鬱
相変わらずのハネケで、第三者が傍観しているような遠い視点から取られている場面が非常に多く、必要以上にも感じる程に現実味が伝わってくる。長回しも多く、退屈だと感じる人も多いだろうし、まぁ実際序盤は結構退屈なんですけども、夏のフランスのカレー、その一見穏やかな街並みと、画面から止めどなく漂う閉塞感と陰鬱な雰囲気とが相まって、眠気や不安感やもどかしさなどに同時に襲われ、重厚なリアルを感じました。
題のハッピーエンドとはこの映画の終わりに対しての題なのか、はたまた、人生という物語の終わりに対して、つまり安らかで幸福な死とは何なのかという問題提起をする為の題なのか色んな解釈が出来ると思いますが、少なくともこの映画の終わりはハッピーなのかと問われると、凡人の考えるハッピーではないとだけは言えます。
まあ、あとこの映画を観るとロリコンに目覚めそうになるので注意って感じですね。
寒々しい
愛の反対は憎しみではなく無関心だといいますが、少女エヴを取り巻く情況はまさにそれ。
父の実家に小さい頃、一度しか来たことがなかったエヴ。
もしかしてエヴの母はトマと離婚する以前から、このロラン家に受け入れられていなかったのでは?
肺炎で死んでしまったエヴの兄(お父さんは医師なのに)。
エヴはパーティで紹介されても、いとこのピエール以外に話しかけてくる人もいなくて、伯母のアンヌも表面的。
父のトマは、前妻が亡くなると、さっさとその住まいに不動産屋を呼ぶ、エヴがいる時に。
そして、極めつけが祖父のジョルジュ。13歳の孫娘にあのような告白を聞かせるなんて。
ラスト、ジョルジュはまったく自分勝手です。エヴのことを、これっぽっちも愛していないのですね。エヴにさらに深い傷を負わせることになるのだから。
距離をとった描き方なので、登場人物に感情移入しづらいし、共感もできませんでした。
ただ、エヴのしたことはいけないことだったけど、周囲を映した鏡だったのだと思いました。
やっぱりハネケ♡
充たされた家族そして欠落
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