ハッピーエンドのレビュー・感想・評価
全55件中、21~40件目を表示
孤独なふたりを惹きつける大きな秘密。
映画「ハッピーエンド」(ミヒャエル・ハネケ監督)から。
正直なところ、よくわからなかった。
観賞後、作品の解説を読んでみたが、それでも難しかった。
「難民が多く暮らすフランス北部の町カレーを舞台に、
不倫や裏切りなどそれぞれに秘密を抱えた
3世代の家族の姿を描いた人間ドラマ」なのだろうが、
この作品を通じて、何を伝えたかったのだろうか?、
それが全くわからなかった。(汗)
作品のポスターに書かれたキャッチコピーは
「『愛、アムール』に続き、名匠ハネケ監督が新たに描く『愛と死』
85歳の祖父と13歳の孫娘。孤独なふたりを惹きつける大きな秘密。」
そうか・・主人公は「祖父と孫娘」だったんだ、と気付くと、
タイトルの「ハッピーエンド」が、妙に輝いてみえた。
新鮮だったのは、冒頭に流れるスマホの縦位置の画面。
縦位置の映像を、横位置の画面でみると、やはり間が抜けていた。
このギャップが一番の収穫だったきがする。
う~ん、フランス映画というだけでも難しいのに、
「フランス・ドイツ・オーストリア合作」となれば、
もうお手上げ状態になるのも無理は無いな。(汗)
更に多重構造になった不穏
ハネケさんの映画がハッピーエンドだなんてそんなー。
って感じで観まして、まーそーだよね、ハネケさんだもんね!って感じで観終わった訳なんですが、思った事もちょこちょこあったんで、書きます。
・ハネケ作品特有の不穏さが、現代と交ざって出来た構造感。
これまでの作品にあった、登場人物達の表情からは解らない深層心理部分ですが、今回はプラスでインターネット上のキャラクターまで重なり、キャラクターの心理を追うのが更に複雑になりましたね。
社会や環境に合わせて繕った表の顔と、内面で何を考えているか解らない、静かな恐怖が監督の特徴ですが、SNSなどインターネット上での人物像がまた別の「顔」として使われた事により、更に多角的な構造の映画となりました。
それにより、今作を観た人達は一人ひとり自身の個性に富んだ感想を得られるようになったように感じます。すげぇやハネケ!
その辺の多重構造はたぶんハネケさんの狙ったポイントなんだと思います。
と、言うのも今回の作品のパーツ一つひとつが、とてもイビツな多重構造なものから出来上がってるからって訳です。
・いろんなイビツな多重構造。
まずは、さっきから書いている、表面、内面、SNSの三点構造。
元々ハネケ作品自体が、表面と内面をそれぞれ読みといて、ようやく理解したよーな、してないよーな……。って作風なんで、二重構造的な作風ではあったんですが、SNS上のキャラクター性まで盛り込む感じ、これSNSとか署名掲示板とかやってない世代には理解出来ない人格みたいな部分だと思います。そんなものまで理解しちゃうなんて、やっぱ凄いねハネケ!!
それから、家族の部分。
複数の世帯が暮らすお屋敷と、それぞれの家庭事情がとてもイビツに描かれています。
家。
主人公の女の子が住んでた家が二つの家を無理矢理重ねて作った的な台詞があります。隠喩ってヤツですね。
ぶっちゃけいらないかなーとも思った部分なんですが、あの不親切で有名な監督が、もしかしたらとても親切なヒントとして言葉として入れてくれたのかもしれないですね!丸くなったねハネケ!!!
カレーの街。
なんだか移民で大変みたい!大変だねハネケ!!!!
・んでもって感想。
感想としては、映像の色彩も爽やかで台詞も多め、感情をあえて逆撫でするいつもの騒音も若干少なめ、上で書いた三重構造のおかけでなのか解らないが三点から人物像を見れるので、今までよりも断然観やすいハネケ作品になったかもしんないです。
そこは良いとことして、ハネケ作品としてのズッシリした気持ち悪さは今回すこし薄味だったかもですね。
白いリボンのような強烈さはなかったです。
今回とても観やすかったからか、はたまた淘汰された上での選ばれしハネケストしかもはや観ていないのか、パッとレビュー見た感じいつもより星が多い気がする。考えすぎか??
そんな感じです!!
秘密
85歳のジョルジュは13歳のエヴに妻を絞殺したと打ち明け、最後は入水自殺しようと車イスをエヴに押させて海辺から入ったところを家族が助けに行く。エヴはその様子を携帯のカメラで撮影するのだった。
絶望的な家族の話
想いの一方通行
華麗な縦列駐車
そんな車の話ではなく、ブラックユーモアを盛り込んだかなり読解力を要求される作品である。ハネケ監督作品は今回初観なのだが、各シーンに於いてこんなにもオチまでのフリが長い、それでいて場面転換の急激な時間進行のストーリー展開は初めてかも知れない。下手したらそれこそ学生作品の編集と言われても疑わないかもしれないが、それだけストーリーの繋ぎを観客の想像力に頼っている希有な作品なのである。内容としては、簡単に言ってしまうと人を殺したお爺さんと子供が、罪の意識に苛まれたり苛まれなかったりする、まぁ、利己主義的テーゼが全体に影を落としているという形である。ただしかし、だから感情移入が出来ないかと言ったらそうではなく、その周りの家族も又、罪の深浅はあるがどれも現代社会では身の回りに起こっていることであり、人間のだらしなさ、ダメさ加減を素直に描いているので、多かれ少なかれ誰しもが思い当たるフシがあって然るべき話なのだ。やたら『小便』の音やワードが出てくるのも、いくら金持ちであっても化けの皮を剥がせばダメ人間の化物だということを、フランス特有のアイロニーを交えつつのお家芸を充分効かせたセンスで作られていることの比喩なのであろう。主人公の女の子の従兄が殴られるシーンでの引きのカットや、祖父が道路を車椅子で通っている時に黒人の連中と何やら話をしているカットは、喧噪と騒音でかき消されその台詞は一切聞こえない演出等、何とも不親切さがビシビシと伝わるのだが、こういう味も又映画の醍醐味なのかも知れない。ここは素直に受容れるしかないのである。ラストの海に入水しようとしてる祖父をスマホのビデオで撮影している女の子、そして急いで追いかける祖父の息子や娘の追いかけるシーンが入り込む作りは、一番の喜怒哀楽が混じった何とも言えない感情が渦巻くベストシーンだろう。本当に不思議な映画であった。
まあまあだった
殺人など物騒な出来事があるのだろうけど、におわすばかりで緊張させるわけではなく、読み込むことを促すような感じで見ていてかったるい。頭を使わないと解釈できない作りで楽しくなかった。ぼさっとしているとドキドキもハラハラもしない。
女の子がお父さんに「あなたは誰も愛せない」と言うのは真を突いているのだろうけど、そういう自分はどうなのだ?と思った。
ハムスター
ハムちゃんの餌に
鬱病の薬混ぜて...
動かなくなったのを棒でつついて
一丁上がりって
ドン引きでした。
足を犬に噛まれてるのを
みんなが確認に来るけど
傷を見ては
病院にも連れて行かず
消毒もせず包帯巻くとかもせず
ブランケット剥ぐってまた掛けるって
何だこの人達は⁇
呆れて笑けた
見世物状態の
女の子が可哀想〜
ハッピーエンドの
タイトルとは
かけ離れたお話しでした。
トビージョーンズ
ダニをペットにしてた王様役の
印象が強い(笑)
破綻した家族関係が激しい口論や恐ろしい経験ではなく、淡々とした静け...
ボケていなかった
ミヒャエル・ハネケの映画は、安易に観客を登場人物へ感情移入させない。
大きな屋敷に住まい、うわべだけの言葉のやり取りが続く家族。
その象徴が、母親との生活を離れて彼らの屋敷にやってきた少女への問いかけであろう。映画の中で何度も彼女は「何歳なのか」という質問を受ける。その他のことを訊かれることはないのだ。
耄碌している(ふりだと、後に分かるが)ジャン・ルイ・トランティニャン演じる祖父にも、二度も年齢を訊かれる。だが、最初の問いかけの後、この祖父は孫娘に対して「13歳にしては幼い」と、思春期の子供に向けてずけずけとした物言いを続ける。
ここでこの祖父が実はボケているのではなく、この少女をつぶさに観察して、その所感を率直に述べているのだということに気付いた観客はほとんどいまい。ずっと後に孫娘と互いの秘密を告白し合うまで、家族の中でこの老人が最も疎外されているように感じた。
しかし、映画の後半では、新参の孫娘のことも含めて、家族のことを俯瞰しているのはこの老人だけなのだということが次第に分かるようになる。
それにしてもこの孫娘を演じているファンティーヌ・アルドゥアンが素晴らしい。あどけなさ、冷酷さの両方を持ち合わせ、つかみどころのない映画の前半におろおろする観客に対して、かろうじて視座を与えてくれるという難しい役回りを演じ切る。
この映画は物語を次へ進める事件を敢えてスクリーンには映さない。もしくは何が起きているのかがよく見えない、聞こえないロングショットでしか観客には情報を与えていない。映画はストーリーテリングの媒体であるという思想をあざ笑うかのように、ハネケは劇的なシーンを省いて進んでいく。映画の中に入ろうとする観客に容易く追いつかせることをしない。
非常に集中力を要する作品であり、その分、ストーリーの展開ではなく登場人物たちの人となりに観客の厳しい目が注がれることになる。
一つ屋根の下バラバラの家族
主人公たちの自分勝手っぷりがなんとも面白かった
北フランスの大手建設会社を営むロラン一家
三世代の家族が共に暮らす彼らだが、それぞれに秘密を抱え…
イザベル・ユペール、ジャン=ルイ・トランティニヤン、マチュー・カソビッツという、フランスの大スター共演にひかれて観た作品
まぁ、まぁ、とにかく、みんなが自分勝手。
自殺願望のお祖父ちゃん、父の会社を継ぎ、不出来な息子に頭を悩ませつつ、その裏で再婚のプランを練る長女、密かに不倫しながら夫婦円満を演出する長男、人の命を軽く考える長男の娘、裕福な家庭に生まれ、移民たちや貧しい人たちの窮状を見逃せない次期社長候補の長女の息子。
恐らく、お祖母ちゃんが生きていた頃は、うまくいっていた家族。
しかし、お祖父ちゃんの思いがけない行動をきっかけに家族は「都合の悪いこと」から目を逸らして生活するようになる。
ホントはエヴがお母さんに薬盛ったことだって、トマが不倫してることだって薄々気づいていたのに、誰も何も言おうとしない
というか、興味を持とうとすらしない
お手伝いさんの娘が、彼らの飼っている犬に足を噛まれたことだって、ホントは病院に連れて行かなきゃいけないのに、大したことないからと言って済まそうとする
工事現場で事故が起きても、その遺族が暴力を振るったことを脅しの材料にして酷く安い賠償金で済ませようとする
恐らく、お祖父ちゃんと現社長の時代は、そうやって貧しい人たちを見下し、利用することでやってこられた
しかし、これからの次期社長の代は、貧しい人たちや移民たちの権利を守らなければならない時代になる
その温度差が、社長親子を苦しめる
時代は移り変わり、一番若いエヴは携帯でしか本音を話すことができない世代になっている
それでも、今までのやり方を押し通そうとする上の世代と、それについていけない下の世代
世代間のコミュニケーションはだんだん希薄になり、金持ち一家のやり方も通じなくなっていく
個々の望むハッピーエンドは違うのに、彼らが共に暮らす意味はどこにあるのか
いつしか、人々の感情が希薄になり、人が死んでいく姿がライブ配信される時代がやってくる…
と映画は嘆く
いや、もしかして、そんな時代は既に到来しているのかもしれない
実直で新鮮な家族映画
今までのハネケにひとつ文句、あるとしたら、いかにも、未知のひねくれた感情を味わせてやろう、という手の跡がみえる点か。が、今作にて、その操作性はナリを潜め、登場人物それぞれが自らの意志で言動するさま、その勝手さに、むしろ若干困惑しながら、記録していく、観察者の進み方をとっていた。ハネケにしては、老練してこそ、また新しいようだ。
家族を題材にした映画で、葛藤がすべて解決、ハッピーエンド、あるいはその逆、という作品は少ないようだか、本作もその王道を行くところ、セブンスコンチネントを撮ったハネケにして、地味で、淡々としている。が、一周回っての境地なのか、地味な進行を構成するシーン、ひとつひとつが発する波紋の、広がり、そして、波紋同士の交錯、それにより、またさらに生まれる波紋は、文章で言えば、行間といおうか、こちらの脳内で補完させる、そんな喚起力を持って、迫った。家族の事件が、ざわつく感情の湖面に、乱投下されていく。
すると、裕福なフランス人一家である登場人物と、ドブ臭い水すするわが身の実状と、かけ離れて、いやまさか、我がこととして切々と沁み入り、心に深き爪痕を残された。
みてよかった。
家族のひずみ
裕福な生活を送る家族の間のひずみを淡々と描写し、死や破滅を予感させるような不穏な空気が常に漂っています。
スマホ撮影の動画やチャット画面なども挿まれ、生や死を画面の向こう側の世界と捉え実感を持たないSNS世代についても、淡々とした視点を感じます。
それに対比するような、祖父が死の実感を語る場面は、印象深いものでした。
少女が「I☆ JAPAN」と書かれたTシャツを着ている場面があったのも印象に残っています。
日本で起こった事件をモチーフにした部分があるからかも、ということのようですが。
タイトルの「ハッピーエンド」は、死や破滅を予感させつつ、結果的に死や破滅は訪れない、回避できたから、ハッピーエンドということかと思いました。
しかし、絶望や罪や絆の断絶を内包したままで、表面的なハッピーエンドと思われますし、やはり皮肉を感じます。
説明不要
全55件中、21~40件目を表示