「解離性障害を抱えた患者の戦い」リアル とえさんの映画レビュー(感想・評価)
解離性障害を抱えた患者の戦い
面白いと言うよりも、これってどういうこと?と思いつつ、謎解きしながら観続けて、最後に、なるほどねーと思って納得した映画だった
解離性障害のために精神科に通うチャン・テヨンが「本当の自分」を取り戻す旅に出る物語
話は三部構成になっていて、それぞれに散りばめられたピースを積み重ねて行きながら、最後に全てが完成する
これは、解離性障害を抱えた人の頭の中を映像化したものたけど
その説明が一切ないので、ちょっと理解しにくい
けれど、初めに登場した精神科医をガイドとして
「私があなたの中にいるもう一人を殺してみせますよ」
という言葉を心の片隅に置きながら、この話を観進めていくと、最後のオチがしっくりくる
カジノ経営者のテヨンとジャーナリストのテヨン
彼らを分けたのは麻薬であり、耐えられない現実から飛び出したもう一人の自分である
もう一人の自分でいる時の記憶を全て失うことで、彼らの世界が2つになる
そこで、精神科医はもう一人の自分に実体を持たせ、彼ら同士を対峙させる
そうして物語は
誕生 → 対決 → リアル
へと進んでいく
ちょっと説明不足なところがあるので、分かりづらいところもあるかもしれないけど
現実社会で起きないことは、全て頭の中で起きていると思って観れば、最後に納得できるはず
耐えられないような現実を目撃してしまったことで、麻薬に頼るようになると、精神に異常をきたしてしまうことを、この映画は描いている
と同時に、韓国で浸透していくロシアンマフィアによる麻薬問題も描く
しかし、最後にテヨンが観た世界はどんな世界だったのかを知りたかった
そこが心残り
韓国映画では珍しく、かなりヨーロッパのテイストが濃い映画だけど
これはこれで、こういう韓国映画があっても良いかもな