「これが実話とは驚き。チャスティンが上手い!」モリーズ・ゲーム Marikoさんの映画レビュー(感想・評価)
これが実話とは驚き。チャスティンが上手い!
谷深ければ
山高し
という言葉がありますが、このモリー・ブルームの半生にはほんとに劇的な栄光と転落があって驚かされる。
さぁ、いったい何が谷でどれが山だったのか… ?
スキーのオリンピック米代表一歩手前でケガで夢挫折し、20代前半で人生の目標を転向、26才で高額ポーカー・クラブの経営者として大成功を収めたモリー・ブルーム。
頭脳明晰の秀才で度胸もあり、女性としても大変魅力的、目の前のチャンスを絶対逃さない ずば抜けた行動力。
他でこれを生かせばいいのに…と思うのはこちらの勝手であって。何かに導かれるような展開に、これも彼女の運命だったのでしょう。
業界の大物や芸能スター、変わり者たちのうようよ集まる高級クラブには、欲望が渦巻き、巨額の金が動き、ましてやギャンブルの場、当然トラブルもある。
順風満帆だったのは束の間、大きな落とし穴が待ち受けていて、モリーには命の危険も迫り、身を守るためとは言え不本意ながら結果的にはあることが法に触れて逮捕されてしまう。これ、実話です。
終盤。心の根っこに長年あった、父親に対するコンプレックスに本人が気づくシーン。当の父親から指摘されるというのが何とも言えないけど、あのシーンにはやられました・・・涙がしばらく止まらなかった。
あれ?この映画で泣くはずでは…?と慌ててハンカチを探す…
やっぱり人の心ほどわかりにくく複雑なものはないし、幼少の頃に満たされなかった親の愛というのは、これほどまでに影響するものなのか…
でもわかり合えてほんとによかった。2人の心の氷が一気に溶けた感じ。
でも考えたら、このモリーの転落がなかったら、一生父の愛に気づけなかったかもしれない。皮肉なものですね。
その厳格な父親役をケビン・コスナー。
人間味あふれる敏腕弁護士を、マンデラ大統領の伝記映画の印象深いイドリス・エルバ。
2人とも上手い!
特に検察側に対して熱弁を奮うイドリス・エルバのシーンはこの映画の名シーンのひとつでしょう。
そして何より、美しいジェスカ・チャスティン!
ゼロダークでもアルカイダを追い詰める実在のやり手のCIAエージェントがぴったりハマってたけど、《頭のキレる意志の強い女性》を演じたらピカイチですね。
ところで今回は恋愛絡みの話が一切なかった。
意外と義理堅く、心のあたたかいモリー。
同じ女性として、モリーには是非幸せになっていてほしいと思う。
観てよかった。