「秋」さよなら、僕のマンハッタン ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
秋
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人生の初夏を迎えようとするトーマスと人生の秋を迎えたトーマスの両親が、ニューヨークの美しい景色と重なりました。
トーマスはまだ若く将来もはっきりしないし恋愛も良く分からない段階。愛について興味があるけれど女性には全くお手上げ状態。前に進めないモラトリアム君とでもいうのでしょうか。だけど人生モラトリアムなのはトーマスだけではありませんでした。父も母もW・F・ジェラルドも本当の気持ちを閉じ込めたまま歳だけを重ねていました。人間は迷いながら後悔をしながら歳を重ねる人も多いのかな?父、母、W・F・ジェラルドがモラトリアム人生に落とし前をつけたラストは、愛と希望に溢れていてぐっときてしまいました。募る想いがあったり言いたい事があるならば、自分に素直にならないと死ぬまで後悔するのだと思います。トーマスは父、母、W・F・ジェラルド3人の愛をこの目で目の当たりにして、自分が愛されていたという確信が持てたのでしょう。ラストのトーマスの顔つきは昔の頼りないトーマスの顔つきではありませんでした。彼はモラトリアム少年から精神的に成長したのだと思います。不器用な中にも甘酸っぱさのあるマーク・ウェブの作品が、私はやっぱり好きだなあ。
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