「ハッピーばかりじゃないのよ、人生は」マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ハッピーばかりじゃないのよ、人生は
ABBAの名曲に彩られ、世界中で大ヒットしたミュージカル『マンマ・ミーア!』の10年振りの続編。
明るく、楽しく、見たら誰もがハッピーな気持ちになれるポジティブ・ムービー。
この作品が嫌いなひねくれ者なんてそうは居やしないだろう。
…いや、居るんだな。この私。
嫌いって言うか、どうも性に会わず。
この底抜けの明るさ、楽しさが、何と言うかノーテンキと言うか、頭カラッポと言うか。
まるで、ハッピーと元気の押し売り。
歌って踊って、恋してりゃそれだけでいい!…みたいなノリにもノレず。
登場人物たちも自己チュー。
メリル・ストリープのはしゃぎっぷりは見ててイタイし、ピアース・ブロスナンの歌声は誰がどう聴いたって音痴。
唯一良かったのは、ABBAの曲とブレイクのきっかけとなったアマンダ・セイフライドの魅力くらい。ビキニ姿が眩しかった!
話もちとうろ覚えで、ところで、3人の父親候補の内、誰が本当の父親だったんだっけ…?
…と、まあ、こんな感じ。
一応前作は見たんだし、今回も見ておくか程度で鑑賞。
まず、いきなりびっくり。
前作で年甲斐もなくはしゃいでたメリル演じる母ドナが故人に。
あれ、前作のラストで死んだりしたんだっけ…?
いや、どうやらこれは今回の設定のようで。
母の後を継ぎ、美しいエーゲ海に浮かぶ島のホテル改装と新規オープンに忙しい娘ソフィ。
予期せぬトラブル、NY滞在中の夫とすれ違い、そして妊娠…。
そんな彼女が思い返すのは、母の姿…。
ソフィの今とドナの若き頃が交錯して展開。
とりわけ物語の大きな見所は、若き頃のドナの過去パートだろう。
大学卒業後一人旅をし、この島に辿り着く。
旅の中で3人の父親候補と出会う。
そして、ソフィを妊娠する…まで。
ソフィの今と重ね合わせるように描かれていく。
とにかく若い頃から自由奔放だった母ドナ。
それらが歌とダンスに乗せて綴られるのだから、もう本当にノリノリ。
自由と恋と青春を満喫するドナだが…、ちょっとハメ外し過ぎやしないかい…?
要は、後先何も考えず、その時の気分第一で、3人の男と代わる代わる恋して、関係持って、気付いたら妊娠してて…って、
良く言えば恋多きシングルマザー、悪く言えば計画性ゼロのヤ○マ○じゃん…。
そんな奔放過ぎる生き方を、ハッピーに肯定するかのように見せられてもねぇ…。
母娘愛、夫婦愛、見守る人々の愛…溢れんばかりの包み込んでくれるような大いなる愛に満ち、確かに幸せな気持ちにさせてくれるが、
歌やダンスはいいが、客観的に見れば話は薄く、登場人物たちはやっぱりノーテンキ&自己チュー。
結局前作とほとんど変わっておらず、前作が性に合わなかった自分が突然続編を気に入る訳なく、やはりどうしてもこのノリには乗れなかった。
悪くなかった点も幾つか。
若きドナを演じるリリー・ジェームズの、歌って踊って、魅力全開の好演。
ソフィの良き支え役であるホテル支配人のアンディ・ガルシアのダンディー&ジェントルマンぶり。
そして、ソフィの祖母シェールのラスボス感(笑) 勿論、見事な歌声披露。
ミュージカル・シーンはより躍動感アップ。
ABBAのあの名曲かかったシーンは、何だかんだ言ってウキウキ。
エーゲ海に囲まれた景色の美しさは素晴らしい。
ノレない自分が悪いだけで、きっと誰もが楽しめる。
恋に、自由に、人生に、歌にダンスに、ハッピー♪
…でも、あんまり浮かれ過ぎていると、
ハッピーばかりじゃないのよ、人生は。