「壮大な肩透かしと深化するテーマ」GODZILLA 決戦機動増殖都市 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
壮大な肩透かしと深化するテーマ
ゴジラ・シリーズ通算第31作(アニゴジ三部作第2部)。
通常スクリーンで鑑賞。
あれだけメカゴジラの名を出しておきながら、蓋を開ければ「メカゴジラ・シティ」って…。メカゴジラが独自進化を遂げて街規模の兵器となっていた…うーむ、微妙でした。
単純にメカゴジラとゴジラ・アースの戦いが観たかった。きっと面白いものになったと思うのだが。ウニをイメージしたというデザインもカッコいいって思ってたのに。
予想では、2万年を経てナノメタルの影響で大きくなったメカゴジラが身長差を克服してバトルしてくれるのかなと期待していた身としてはなんとも微妙な感じでした。
ゴジラ映画の没企画、「ゴジラ対アスカ要塞」が元ネタなのか。本作と同じように自律思考型の要塞がゴジラと戦うと云う物語なので、もしかしたら関連があるかもしれません。
それはさておいても、メカゴジラが要塞になると云う設定はめちゃくちゃ斬新だとは思うのですが、とにかく、カゴジラはメカゴジラのままで登場させて欲しかったです。
その点、機動兵器ヴァルチャーは問答無用のカッコ良さ。デザインがイカしているし、実写では不可能な動きを駆使したバトル・シーンも絶品。メカゴジラがいない分救いでした。
メカゴジラ・シティとヴァルチャーを使ったゴジラ撃滅作戦が胸アツ。よく考えたら前作のクライマックスの焼き直しであると気づきましたが、スペクタクル度は本作が上でした。都市破壊のカタルシスを若干感じることが出来て好印象(笑)。
人間ドラマを重視していると云うことでアクションはあくまでも二の次。ドラマに大きく尺を裂いた分、主人公の葛藤や人類と他種族の価値観の違いが浮き彫りになり、ゴジラ打倒の新概念が登場したりして観応えがあり、圧倒されました。
ユウコを救えなかったハルオはこれからいったいどうなっていくのか。先の展開が気になりました。時間を掛けてゆっくり描ける三部作だからこそ出来る芸当だな、と…。描きたいテーマについて段階を踏んで深化させられると云うわけか。
もうひとつの期待だったモスラはとうとう出て来ませんでしたが、第3章ではついにゴジラ最大のライバル、キングギドラが満を持しての登場とか。1964年以来となる同じ年に2本のゴジラ映画が公開されると云うことで今から大興奮。次はついに怪獣対決か。今からとても楽しみです。
[追記(2018/11/11)]
ビルサルドの理論にはやっぱり唸らされました。じゃあゴジラを倒すなんて無理なのかも。ハルオの下した決断は吉と出るか、凶と出るか。「星を喰う者」を早く観に行こう。
[以降の鑑賞記録]
2018/11/11:Blu-ray
2019/05/29:Blu-ray
2020/05/02:WOWOWシネマ
※修正(2023/11/02)