「おいどうした、J・K・ローリング!」ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 タミヤ・ユウさんの映画レビュー(感想・評価)
おいどうした、J・K・ローリング!
正直前作もそんなに覚えていないのですが、ダンブルドアも出てくるし予告編も格好良かったのですが、いろいろ思い出しなから率直な感想を述べると、今回は個人的に微妙だったと言わざるを得ないです…。
自分はハリポタシリーズは大好きで、小説も小さい頃から読んでました。
一番最初の「賢者の石」は子供の頃に何回も観て、「不死鳥の騎士団」と「謎のプリンス」以外は基本的に全部好きです。
だからこそ、今回は厳しく言わせて頂きます。
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ですが、まずは好きだった点から
前作でも迫力があって綺麗だったCGが今回も健在だったので見入ってました。
特に冒頭の空飛ぶ馬車を箒に乗った魔法使いが追いかける場面はアトラクションに乗ってるようでした!
キャスト陣も良かった人達が多いです。
特に前作から続投してる人達が結構良かったです。
主人公ニュートを演じてるエディ・レッドメインは本人のチャーミングな雰囲気がはまっていますし、ジェイコブ役の俳優も良いです。
そして、クリーデンスを演じたエズラ・ミラーも前作の異様さはありませんが存在感と演技は健在でしたし、グリンデルバルド演じたジョニー・デップも良かったです。
また、自分は前作の一番好きなキャラクターはジェイコブなのですが、今回も一番良かったです。
小太りだし頼りなさそうでおまけに魔法が使えないマグルですが、彼は面白いしチャーミングで僕ら観客との距離感を保ってくれので、居るだけで安心できる存在です。今回も健在でした。
そして、ハリポタ好きなら感動するネタもあったりして嬉しかったです。
特にホグワーツのシーンでハリポタの曲がかかった時は興奮しました!
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以上の好きな点がありながら、どうして楽しめなかったのかを説明したいと思います。
まず登場人物の多さです。
基本的に前作で出てきたキャラクターが殆ど続投していて、それに加えてダンブルドアと黒幕のグリンデルバルド、ニコラス・フラメル、ニュートの兄、その婚約者にしてニュートの初恋の女性、そしてクリーデンス関連の人物が2人、あとグリンデルバルド側の人物が3人くらいいました。
前作で登場しなかった新キャラクターをこんな一辺に登場してしまうとキャラクターが覚えられないし、全然印象に残らないです。
あと先ほどジェイコブが良いと言ったのですが、前作で魔法使いの記憶を消されたはずの彼が再登場した時には既に記憶が戻ってるのも微妙でした。
何のために記憶を消したのやら…
そして、この映画最大の問題は「ファンタスティック・ビースト」というタイトルなのに、魔法生物の活躍が少ししかないという点です。
一応大きい魔法生物を捕まえたり、何匹かはニュート達に協力したりしてたのですが、魔法生物は全くメインじゃなくて今回は完全に人対人の話になってしまっています。
前作でも終盤は魔法生物と離れた展開ではあったのですが、途中までは魔法生物を探す冒険もので、そこが面白かったです。
ファンタスティック・ビースト(魔法生物)関係無いじゃん!
そして、今回の映画を観て何故そもそもハリポタに比べると印象に欠けるのかが解りました。
それは上映時間がさほど長くない事です。
ハリポタの「賢者の石」や「秘密の部屋」は2時間半以上ありますし、「死の秘宝」に至っては前後編に分かれています。
登場人物やシナリオを丁寧に描いた事で長くなってしまっていますが、お陰で話がより深くでキャラクターも感情移入がしやすかったです。
それなのに、このシリーズは話やキャラクターがハリポタ同様に濃いのに(そしてただでさえ登場人物が多いのに)、それよりも時間が短いのでそれらを深く掘り下げないまま映画が進んでいってしまっています。
そして、今回は濃いキャラクターや設定を充分に掘り下げないまま続編ありきの結末でした。
「アベンジャーズIW」みたいに登場人物を徹底的に掘り下げたりクライマックスに向けて天井知らずに盛り上げる話にもなっていないのに、続編に持ち越そうとしていました。
一応好きなシーンもあってそんなに退屈にも感じなかったです。
そして、最後にあんな事になってしまった「あのキャラクター」の今後も気になるので次の作品も観ようと考えてはいますが、このシリーズの続編は次回が最後で良いんじゃないかと思います。
予定では全5部作らしいのですが、少なくとも今はそんなに観る気にもなれないです。
なので、次回はこれよりも面白くなることを祈っています。