「勇気有る闘いにより始めて得られたステイタス」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
勇気有る闘いにより始めて得られたステイタス
マスメディアと大統領との激しい戦争状況の最中、まさにドンピシャリのタイミンングでこれだけハイクオリティのものを創ってくるハリウッドとスピルバーグに敬意を覚えた。
ワシントンポストが、ホワイトハウスからの脅迫のみならず、現実として出版側の少なからずの人間が投獄されるリスクが相当にある中で、ペンタゴンペーパー公開に、大きな勇気を持って踏み切ったことを始めて知った。そう、与えられたものでなく権力との激しい闘いの中で掴み取った報道の自由。だからこそ、世界中からの信用信頼がこの新聞には有るということを、説得力を持って知らされた。
米国でも新聞社の上層部は政治家との付き合いが有り、友情さえも有ったことを始めて知った。だからこそ、友の要望よりも報道人との使命感を選択したことの重みが良く伝わる。トムハンクスの演技は、いつもながらだけど、リアリティが大で、ニューヨークタイムズに対する凄まじい競争心を本物に感じさせる脚本も秀逸。だからこそ、他の新聞が報道を追随したところでは思わず目頭が熱くなり、泣けてしまった。
朝日新聞のスクープに毎日新聞が敬意を表明する現在の日本の状況は本映画に類似する。報道に関わる方々、ジャーナリストを志す若人、さらにそれらの方々を支えるべき多くの知的な日本人に、是非見て欲しい映画と思った。報道の自由の重要性を声高ではなく控えめに、でも理知的に映像で力強く語らせる姿勢に、きっと感動させられるだろうから。
KENZO一級建築事務所さんへ
コメント有難うございます。
スピルバーグ監督、確かに言われてみると本当にジャンルの幅広いですね。
幾つか、まだ見ていない作品が残ってるので、新ためて見てみたいと思いました。
最近、視野を広げてくれる他人のレビューを読むことが大きな楽しみになっています、今後とも宜しくお願いします。
Kazu Annさんへ
沢山の「♥共感」ありがとうございました。日本でも政治がかなり腐り加減なので、マスコミには本当に頑張って欲しいです。
それにしてもスピルバーグの他の映画監督にはない間口の広さには驚かされます。パニック物、SF作品、冒険物、戦争を舞台とした物、サスペンス物、そしてこの作品のような政治社会物などなど。
イースドウッドに比べればまだまだ若いですから、これからどんな作品を我々に提供してくれるか楽しみです。
今後共「映画.com」でのお付き合いの程、宜しくお願いいたします。