「軍事政権と衝突する光州へと独記者を送迎したタクシー運転手」タクシー運転手 約束は海を越えて 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
軍事政権と衝突する光州へと独記者を送迎したタクシー運転手
歴史に埋もれたひとりの英雄。
タクシー運転手のキム(ソン・ガンホ)と、ドイツ人記者ピーター
(トーマス・クレッチマン)の
《光州取材》に命懸けで検問を越え死線を超えた友情を描いた
実話ベースの映画でした。
ソン・ガンホが妻を亡くして11歳の娘を育てる
優しい父親を演じています。
ラストで思ったことですが、娘を一人にしたくないなら、
光州から一人でサッサと変えるべきですよね。
美談の主と名乗らなかったのもある意味で家族の身の安全を優先しての
事だと思います。
それにしても韓国の歴史的に民主化への布石となった《光州事件》
1980年。
韓国は軍事政権でした。
《光州事件》の背景には後の大統領になる金大中氏の思想と深く関わりが
ありました。
光州事件の直前に軍事政権に刃向かい民主化運動をする金大中氏などが
逮捕される。
金大中氏の生まれ故郷に近い光州では、金氏を支持する人民が多く、
金氏の釈放を求める運動が大きく膨らみ暴動化するのです。
それに対して警察や軍隊が出動して、人民に銃弾を向ける。
公式発表では死者44人とありますが、実際にはその
20倍の犠牲者が出たそうです。
ソウルの個人タクシーが外国人を乗せて検問をくぐるのは、スリルがあり、
とてもハラハラしました。
特に帰り道です。
なんとか検問を通った途端、
「外国人は通すな!!」と軍のジープが何台も追いかけてきます。
そこへなんと応援のタクシー仲間の車が加勢に来るのです。
このカーチェイスは凄かったですね。
ジープに体当たりするタクシー。
横っ腹に突っ込むジープ。
そんなこんなでソウルにやっと到着。
ピーターを早く日本に帰す事。
そして肝心の撮影したフィルムをいかにして持ち込むか?
クッキー缶の下の段に隠すのです。
ピーターの脱出も危機一髪。
世界に《光州事件》の実際が報道されたのです。
ソン・ガンホの親しみやすさと映画のエンタメ性もあり、
とても良い作品でした。
いつもありがとうございます。
この映画、パラサイトつながりで、ソン・ガンホが出ているからとDVDで鑑賞し、タクシー運転手役のユ・ヘジンを知って、「マルモイ ことばあつめ」の鑑賞につながっていくという、自分と韓国映画のつながりの大切な一本になってます。レビューを拝読して、久しぶりに懐かしく思い出しました。
おはようございます。
今作は,2018年に当方が住む地区の大都会の劇場で鑑賞しました。正にパンパンの満席でしたが、韓国の歴史の闇に葬られていた光州事件を白日の下に晒した事件として大ヒットしていたので、わざわざ観に行きました。強烈でした。(で、直ぐに地元でも掛かり、速攻で鑑賞。)
韓国映画界は自国の過去の過ちにも果敢に切り込んでいく姿勢が好きです。邦画は、藤井道人監督の「新聞記者」や大島新監督の名ドキュメンタリーの数作がありますが、マダマダかな。
プーチンが治める国は、もっと酷いですね。
今作は、映画は娯楽でありながらも、世相に警鐘を鳴らした画期的作品だと私は思いました。では。