「感動のエンタメ作品と劇場の心意気にどちらも心が震えました♪」タクシー運転手 約束は海を越えて マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
感動のエンタメ作品と劇場の心意気にどちらも心が震えました♪
4月の初旬からコロナによる緊急事態宣言が出て、全国の映画館は軒並み休館に追い込まれ、映画館で映画を観る事が出来ない日々が続きました。
4月は休館前にギリギリ1本観賞しましたが、5月はゼロ。
今年は映画館での観賞100本を目標にしていたので目標達成はかなり難しくなりましたが、まさかこんな事になろうとは誰も思っていなかった訳で、もっと映画に携わっている方々は切実な思いをされていたと思います。
とりあえず6月に入って、都内もステップ2から映画館が順次再開され、久し振りの映画館での映画観賞を楽しみにしていた中で何を観ようかいろいろ調べていましたが、とりあえず新作の公開はいろいろと上映のタイミングを見計らっている感じで新作上映が少ない中で過去の名作上映を行っている映画館が多いので、実はまだ観たことの無かったこの作品がシネマート新宿で限定公開されると知り、足を運んだ訳ですが、なんと!無料上映をやっているとの事でタダで観賞する事が出来ました。
映画館が再開された記念と今までお待たせしたお詫び的な事も含めての限定の無料上映との事だそうですが、この約2ヶ月は誰も辛かったけど、映画館関係の方々はいつ閉館になるかどうかのギリギリの瀬戸際だったと思うだけに、頭が下がると言うか、もう申し訳ない思いで一杯です。
どうやってお返ししたら良いか分かりませんが、目一杯劇場に足を運んで映画を観賞する事が映画館へのせめてもの恩返しなら、目一杯劇場に足を運んで映画を観まくりたいと思います。
改めて、有難うございます。シネマート新宿さま♪
さて、この「タクシー運転手 約束は海を越えて」は前から観たかった作品で何故かリアルタイムでの公開時に琴線に引っ掛からなかったのが不思議な感じで作品の感想も軒並み高評価なだけに期待には上がっていたんですが、どうしても映画館での観賞をしたかっただけにまさかのこのタイミングで観れるのはもの凄く嬉しくてラッキーで幸せ♪
とにかくポスターのソン・ガンホの笑顔にやられますよね。
で、感想はと言うと、素晴らしい作品です。
とても重い事件を緩急硬軟織り混ぜながら魅せてくれます。
ヒューマンドラマであり、異文化交流のロードムービーで80年代のソウルや光州の風景が何処か懐かしい感じでノスタルジックにも感じさせてくれる。
マンソプのタクシーも「いすゞクーペ」みたいなオールドタイプな感じも良い。
※実際には「キア・ブリザ」と言う車種らしく、「マツダ・ファミリア」のノックダウン生産モデルとの事だそうです。
BGMも心地好くて、オープニングから"これは良い映画が始まる"と言うワクワクする気持ちにさせてくれます。
この辺りは「グリーンブック」に似てる感じですね。
前半はソン・ガンホ演じるマンソプのC調的な弛い感じで進んでいきますが、光州に入って辺りからの中盤からは軍と民衆デモとの争いからエンジンが掛かり、後半は畳み掛ける様に展開していく。
もう軍の鎮圧がこれでもかと言わんばかりに武力で制圧していく様が圧倒的な暴力の恐ろしさを見せつけてくる。
韓国では大きな事件となる光州事件もいろんな政治的な動きから現在に至るまで解明には至ってないとの事ですが、現在の日本では考えられないくらいの悲惨さに眼を背けたくなります。
現在アメリカで発生している警察の黒人男性への死亡事件に伴う抗議デモの事などを思うと、決して他人事としても考えなれない気持ちになりますし、何処か平和ボケをしているかと思うと、現場で軍隊の行為を目にする迄のマンソプの気持ちは我々の代弁でもあるかと思います。
そう言った悲惨なシーンと対比するかの様に光州の同じタクシー仲間のファンの家でのつかの間の交流に心がほっこりし、大学生のジェシクの身体を張った行動に胸が痛くなります。
終盤からは畳み掛ける様にこれでもかと怒涛の逃亡劇を繰り広げますが空港のピーターの国外脱出もハラハラしっぱなし。
ピーターが日本行きの便を早めた事で上手く脱出出来ましたが、もし出来てなかったとしたら…考えるだけで怖いですね。
そこがちょっとあっさりと流されてるのは勿体ないかな。
史実を元に構成された物語との事で多少の盛り上がりを踏まえた演出的な物があるにしても、1級のエンターテイメント作品として成立しています。
素晴らしいのはマンソプ役のソン・ガンホとピーター役のトーマス・クレッチマン。
ソン・ガンホの緩急な演技で必要以上に固苦しくならず、それでいて胸にキリキリと迫ります。
1人の娘の父親であり、1人の人間としての葛藤と勇気がグッと来ます。
トーマス・クレッチマン演じるピーターも良いんですよね。
ラスト辺りからのマンソプとの友情には胸熱になります。
ラストで互いに歳を取った2人。
偽名を使っての連絡先からマンソプと連絡が取れないが、マンソプとの再会を熱望するピーター。
タクシー運転手としてピーターの行為に感謝しつつもピーターと会わなくても心が通じている事に感謝するマンソプ。
個人的には2人の出会いを期待してたりしてましたが、このラストの方が切なくて、夜のソウルの街をマンソプのタクシーが俯瞰で走っていく様を撮す映像に涙がグッと来ます。
良い終わり方ですよね。
日本では報道の倫理について度々討論される事が多く、行き過ぎた報道にうんざりし、その都度かざされる報道と表現の自由と言う言葉がもの凄く安っぽく感じる事があります。
もちろん大事な物で大事な事と認識してますが、本来の報道の在り方が見えなくなると言うか、見えない感じなんですよね。
ピーターの勇気ある行動で明るみになった事件ですが、それを支えたマンソプ達の尊い犠牲と勇気も忘れてはいけないし、そこに心打たれます。
韓国と言う国と日本の関わり方は文化の違い等もあり、いろんな部分で難しい所がありますが、それでも韓国映画はどれも非常にレベルの高い作品が多いですよね。
予告編を観ていても"うわっ!面白そう♪"と思う作品がてんこ盛りです。
とにかく、待望の作品を映画館で観れた事に大満足です。
ここ数年で約2ヶ月近く映画館で映画観賞をしないのは結構マレで改めて思ったのは自分にとって映画館での映画観賞はただ映画を観るだけでなく、映画を観る前後と映画館で映画を観る行為自体が映画を体感すると言う事なんですよね。
体感する訳ですから、映画観賞ならぬ「映画感賞」と言う感じですかね。
自宅でDVDやネットで映画を観るのとは一味も二味も違った映画を映画館で観ると言う特別な行為。
これからも映画館で映画を観れる事がとても幸せで平和の恩恵と言う事を忘れずにいきたいと思います。
今更ながらではありますが、文句無しの作品です。
時折、いろんな劇場でアンコール上映をしているみたいなので、タイミングが合えば是非映画館で♪
CBさん
コメントありがとうございます。
シネマート新宿さんの心意気は本当に頭が下がる思いです。
100本はなかなか難しい数字ですが、100本を観る事を目標とせずに観たい作品を観に行ったら達成したが一番ですよね。
映画を観る方法はいろいろありますが、こんな時だからこそ、劇場に貢献したいと思いますが、無理は禁物ですね。
また、お暇な時にでも覗きに来て下さいね。
コロナの影響でまだまだ大変な日が続きますが御自愛下さい。
巫女雷男さん
コメントありがとうございます。
年間100本の観賞はちょっと無理をしないとなかなか達成出来ない数字ですが今はコロナの影響がまだまだ予断の許さぬ状況なので無理はしない方が良いですよね。
自分のペースで観賞が一番かなと思います♪
また、お暇な時にでも覗きに来て下さいね。
巫女雷男さん
コメントありがとうございます。
昨年が92本だったのと、約2ヶ月近く空いたので無理かな~と思ったのですが、計算したら今年は劇場観賞が今の所34本だったので、なんとか行けるかもですw
とりあえず、無理せずに劇場観賞を楽しみたいと思います。
また、お暇な時にでも覗きに来て下さいね♪
コロナの影響がまだまだ予断の許さない日々が続きますが御自愛下さい。