「忠誠!」タクシー運転手 約束は海を越えて KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
忠誠!
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ひょうきんで単純な主人公に序盤はかなり笑わせられる。
記者をタクシーに乗せるきっかけも要は横取りだし割と自己中的な性格なんだけどなんだか憎めないキャラである。
平和な前置きから光州に入ってからは一気に雰囲気が変わる。
理不尽なんて言葉では温いほどの暴力が飛び交う凄惨な光景の尋常じゃない緊張感と、何も出来ないもどかしさ。
ついさっきまで歌って笑っていたのに突然日常が崩壊し、優しい人間がどんどん傷付けられ死んでいく恐怖。
世界に事実を伝える、というただ一つの希望にかける全員の思いの強さに胸が熱くなり、本気で応援してしまう。
デモなんて、と楽観的だった主人公の「知ってしまった」という表情が印象的。引き戻るシーンは本当に熱かった。
途中急に湧いて出てきたタクシー隊には驚きだったけど、一台一台とフェードアウトしていく毎に涙が止まらなかった。
ハッとさせられたのが、検問の軍人の一人がわざと此方を見逃したこと。
軍隊イコール敵、という目で観ていたけれど、政府の思想・方針に必ずしも全員賛成ではないということをふと思い出した。
事実に基づいた話、ということだったけど、いくつものドラマを組み入れて映画的に作られていたのが良かった。
それでも最後は結局会えないままだったのね…と非常に複雑な気持ちになるけれど。
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