こどもしょくどうのレビュー・感想・評価
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痛たまれない…
児童養護施設に入る子どもたちは昨年度で26000人。入っている子供でそうなのだから、入っていない子供を合わせると一体何人の恵まれない環境の子供たちがいるのだろう。。映画は育児放棄された子供側の視点で描く誰も知らないを思わせる。水商売らしき母親と暮らすタカシの食事の面倒を見る少年と両親が切り盛りする定食屋の話が中心かと思った。しかし、河川敷の車中で暮らす姉妹は公園で髪を洗い、食べ物を万引きするなどし、タカシよりも更に劣悪な環境で暮らす。やがて父親もどこかに行ってしまう。親の責任感の無さが何ともやるせなく、怒りがこみ上げてくる。ラスト、小学生以下無料の貼り紙をしている定食屋は唯一明るいシーンだが、これは他国の話ではなく、日本のことなのだと、貧困の現実を実感した。
心の洗濯ができた
「こどもしょくどう」というタイトルからは、地域コミュニティのありかたを描いているのかと、勝手に想像してしまうが、そうではなかった。崩壊した家庭の子供と、通りすがりにすぎないながらも援けの手を差し伸べる小学生ユウト君とその家族の交流が、物語の主軸である。
崩壊した家庭、木下一家がなぜこのような末路をたどるに至ったか、は描かれていない。神の視点ではなく、ユウトの視点から大きく外れることはない。たびたび大きく映されるユウトの澄んだ瞳は、映画を録っているカメラレンズのようでもある。そういう効果もあってか、観る者はユウトに心を重ね合わせやすい。ユウトの言行は控えめだが、こちらの期待を裏切ることはない。自然、ユウトの感情と思考にシンクロし、さまざまな問題が重くのしかかってくる。
主役の子供たちはみな寡黙ながらも、目で演技するのがうまい。子供たちに限らずこの作品の共通項でもある。そこにリアリティがあり、だからこそ揺さぶられる。
貧困が問題を浮き彫りにさせるが、それら問題が貧困に因を成していない。ゆえに悲しみはいっそう深くことさら重たい。世間一般の常識が、ときには厳しい現実の巌そのものである。大人的思考は責任逃れ第一と区別がつかない。社会を成り立たせている規範は、あるケースでは過酷に弱者を奈落へと落とす。護るべきは何か、何を許すべきか。
大人は大人として学び、子供は子供として学んでいく。成長はそれぞれまばゆい。彩雲をみると幸せあるという。木下姉妹の行く先に幸あると、兆してくれたシーンは救いだ。
心の洗濯ができた。普段の生活において、いかに多くの恵みを受けているか、そしてそれを当たり前のものとして鈍感に暮らしているか。そういうことに気づくことができた。欲のミノムシになっているわが姿を、映画の内容を反芻しつつ深々と自覚したい。このような映画にときどき会いたい。
平成こども映画の傑作
主人公、ユウトは言ってしまえば傍観者だ。いじめられている友人をちゃんと助けることができない自分にも、そしてかまってあげて、気遣っている”ふり”をしている大人たちに対しても、その不満をぶつけることなく、なんとなくやり過ごしている傍観者。日本人のほとんどがこのタイプなのではないだろうか。
昭和以前の時代であれば、このような少年が主人公になるとするならば、わかりやすく最後にレギュラーになるなり、代打でホームランをかっ飛ばす等大活躍してハッピーエンド、となるのだろうが、この映画はそうではない。最後はとても切なく、そして、まぁ人間なんてこんなもんだ、というような結末なのだが、それが逆にとても深く心に残った。最後に舞台であった食堂が”子ども食堂”を始めるのと同時に、映画は終わる。観ている我々も何かできることがあるのでは?と製作者たちに問いかけられているような気持ちを残して。
「こどもしょくどう」って、どうして必要なの?
この作品は、名子役 鈴木梨央の出番で殆ど成り立っている。作品が訴えかけている内容は、物凄く素晴らしい。まさに「現実の貧困を強いられている家族のありよう。」について勉強になった。しかし、要所要所の描き方が甘い。
夫婦は、死別したのか離婚したのか。車中生活を強いられた3人。警察の巡回もなし?
ラストの終わり方も、子供たちのそれぞれの視線。ユウトはミチルの最後の別れに何を感じたのか。また、ミチルは、パトカーに乗る前のあの視線は何を言いたかったのか。タカシの学校での普段見られない「行動」を起こした心の変化は何だったのだろう。
最後のそれぞれの「思い」が明確ではなく、その他全ての答えは、観るものに委ねてのエンドロールである。
現代社会では、今現在「こども食堂」が、日本で必要とされている。それはなぜなのだろうか。その点を、はっきり明示されていない。
それが、DV問題や子供の少子化につながっていくのかもしれないが、解決の糸口を少しでも、監督自身が組み入れていれば、『万引き家族』に描かれていないDVをされていた(これからもされ続ける)少女の「救い」を描かれていれば良かったのにという後悔は残ってしまった。
追加:Dragon Ashの降谷と石田ひかりが夫婦役?
虹ぐもに無理がある。虹の彗星にでもすべきではなかったか。
食事処「あづまや」は、こどもは無料なのは本当か?
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