「心に沁み入るような作品でした」日日是好日 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
心に沁み入るような作品でした
主人公・典子が母親の勧めで何気なく始めた茶道を通じて、感じ、そして学んだ様々な人生訓を、20数年に亘る武田先生との子弟関係を絡めて描いた作品。原作未読。所作の「形」を学んだその先に、自然と人の世の移り変わりにさり気なく寄り添う茶道の深遠な世界を垣間見たような気がしました。毎年毎年、同じように繰り返されるお茶事には何か悠久の営みのようなものを感じます。その前では、人の苦しみや悲しみも季節の移ろいのようなもので、毎日を迎えられたことこそが僥倖であり、それが作品のタイトルである「毎日が好日(よきひ)」に通ずるのでしょう。主人公の20数年を一人で演じた黒木華さんが見せる多彩な表情は、多感な主人公の心情を映し実に見事でした。そしてその主人公の人生の困難な時も優しく包み込む先生役の樹木希林のたおやかさが何とも心地良く、観る者の心まで慰さめてくれるようでした。「続けられることが幸せ」、武田先生の最後のこの言葉は、生涯役者を貫いた樹木希林さんの人生とも重なって心に染みました。合掌。
コメントする