カメラを止めるな!のレビュー・感想・評価
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途中で観るのを止めるな!
まさか、こんな幸せな温かい気持ちになる映画だったとは!
途中のエンドロールで観るのを止めそうになった自分が笑える。
よくできた映画だ。『四畳半神話体系』とかと同じジャンルかな。全てが伏線系。
たぶんVODで観ている人の大半が、後半と前半を比べながら再度観てるはず。(私もやりました。)楽しめるわー。
娘を肩車した写真もああいう意味があったのね。素晴らし。
しかし「あのシーン」は単に脚が映りこんだだけだったのか。(笑
「諦めたらそこで終わり」という普遍的メッセージがそこにはある
昔から低予算で観客を驚かせるにはゾンビ物が有効だ。とはいえ、ロメロ以降、映画作りの鉄則として知られるこの手法を、まさかこれほど呆気にとられる形で駆使して、しかも観客にハイレベルの楽しさと「なるほど!」の快感、それに何とも言えない爽快感と感動をもたらすとは恐れ入った。
もしも前半の長回しの趣向だけで終わっていたら、タイトルはそのまま「ワンカット・オブ・ザ・デッド」で良かったに違いない。本作のタイトル「カメラを止めるな!」はまさしく秀逸な後半部なくして生まれ得なかったもの。この映画には「諦めたらそこで終わり」という普遍的なメッセージが満ち満ちており、それが登場人物の心にしっかりと寄り添い、ひいては映画作りにとどまらず、作り手の生活や人生、そしてあらゆる観客たちの心を鼓舞する応援歌のように響き始めるのだから不思議だ。本作を見ると底知れぬ勇気と元気がこみ上げてくるのはきっとそのためなのだろう。
ただただ面白さを追求することの尊さ
なんでこんなに観終わった後に清々しい気分になれるんだろうか。一応ゾンビ要素もスプラッター描写もある作品だというのに。
とにかく脚本の構成が抜群にいい。ゾンビものかな?>あれ、メタフィクションものかな?>いや、メタメタフィクション?、と思わせる最初の37分間、そうしたら種明かしパートであの展開である。バックステージものは数多くあるが、工夫の仕方がひときわユニーク。家族愛に落とし込む展開も見事。実際のアクシデントもあったようで、どれが計算でどれが偶然なのかわからないところがかえってリアリティを作って観る人を引き込む効果を作っている。
テクニカルに優れた作品だけど、小難しさは一切ない。映画を楽しんでほしいという気持ちに溢れているのが本当に好感が持てる。
ネタをすでに知っている二度目の鑑賞ではそこまで楽しめないかと思っていたら、一回目とは全く違う楽しみも発見できるので繰り返し鑑賞をオススメしたい。
ギミックの先に届くナニカを望むのは贅沢か?
よく練られたアイデア、それを実現する実行力と演出力、要求された表現を実体化する役者陣。「低予算なのに」みたいな枕詞を付けるのは失礼なくらい、非常に完成度の高いコメディである上に、映画作りの映画でもあるのだから、なんと行き届いていることか! あまりにも感心させられたので、この映画の作り手にはもう少し先まで望んでみたい。最初に解くべき謎を提示して、みごとに伏線を回収し、最後には感動めいたものまでもたらしてくれる。確かにアッパレであるのだが、予定通りにキレイに収まった、という以上のふくらみがあれば無敵なのではないか。ものすごくよくできている、けれど、同時にこれは傑作をものにする出発点ではなかろうか。
あらためて観ても面白い
よくできた映画だなーと感心するよね
映画のあらすじはもうあらためて説明するまでもないけど、ゾンビ映画を撮影していた現場にホンモノのゾンビが現れて大パニックに!だけど所々違和感を感じる部分があって、なんか変な映画だなーと思ったら、それ自体も映画でした、という二重底映画。
つまりなんか変だなーと違和感を感じた部分にもたゃんと理由がありまして、といったところを種明かししていくスタイル。映画の途中でガラッと目線を変えて同じ物語を観ていくアイデアはなかなか秀逸で、その斬新さから公開当時は口コミで上映規模も大きくなっていき社会現象と言ってもいいほど話題になった。
その影響の大きさ故に権利関係の問題がいろいろ出たり、スピンオフモノも続々出たりと邦画としては異例なほど話題になり続けたことは記憶に新しいところ。
あらためて見直してみたけど、うん、これは確かに面白い。無駄が全くない上にちゃんと伏線も回収できてる。その上で映画撮影に対する熱い想いだったり、監督業のツラさやその対極のカタルシス、撮影チームの大混乱からの一体感のように、もともとの映画監督養成スクールのワークショップ作品ならではの横顔も持ち合わせていて、B級映画の撮影現場を覗き見するような面白さをしっかり映画の魅力に昇華されてて、やっぱり語弊はあるかもだけど本作は名作だなと感じた。
私は邦画をあまり観なくて、というのはエンタメ大好きなタイプの映画好きにとって邦画は鬼門。アニメ実写とドラマの延長線と楽屋オチを除くとほとんど見るものが無い状況で、こんな感じのしっかり練られた脚本の作品は貴重だし、こういう観る側が乗っていけるような引力のある作品がもっと出て欲しいって思う。
そういう意味である意味とっても映画らしい一本。
エンタメとしてはほぼ満点かな
そこまでか?
テレビでの寸評もよく、芸能人がこぞって絶賛してたので、かなりハードルが上がった状態で鑑賞したのですが、どこがいいのか、何が面白いのかサッパリわかりませんでした。
低予算の割に、、、というのがポイントなんですか?だからどうしたの?って感じ。
え、これで満足できるのでしょうか。
全体構成の魅力的な作品だが、更に、ワンカットシーンとメイキングシーンは別々に撮られたものと想像すると…
多分、公開年以来の再鑑賞だったが、
全体の構成などもすっかり忘れていたので、
それなりに新鮮な気分で
楽しまさせていただいた。
今回の鑑賞では、
公開当時に話題になった劇中劇設定と、
「1917 命をかけた伝令」のような
ワンカットの撮影手法のことではなく、
この作品の物語性そのものに
注目して観始めたはずだった…しかし…
改めて鑑賞して感心させられたことは、
前半の劇中劇編がほぼワンカットなので、
そのための緻密な計算と準備が
相当のものだったと想像すると同時に、
後半のメイキング編が
前半の場面と、映像的に
本当に合っているのかの確認のために、
実は、前半とは真逆に、
それこそ何度も繰り返し撮影したのでは
なかったかと想像したためだった。
つまり、前半のワンカットシーンは
後半のメイキングのシーンと
同時に撮られたものでは無く、
この二つのシーンは別々に撮られたものと
想像せざるを得なかったので、
もしそうだとしたら、
この作品の製作には相当な労苦が
秘められていたのではなかったろうか。
また、後半のメイキング編では、
実は想定違いが二重にあったと明らかに
されると共に、
観客は前半の劇中劇に
その結果の映像が散りばめられている事も
突き付けられることになった。
物語性がどうのこうの以前に、
やはり、全体の構成の妙が
実に魅力的に感じる作品に思えた。
ホラー映画のようでホラー映画ではない、最後まで鑑賞すべし!
とても面白かったです!
有名だということは知っていましたが、結局今になって初鑑賞。
なるほど、これは盛り上がっていたのはそういう理由だったのかとびっくりしました。とても面白いです!
ゾンビものなのかな?とおもいきや、家族愛あり、仕事への情熱あり、笑いありで、
とにかく最後まで見ることをお勧めします!
監督の努力と創意工夫の賜物で、チームが一丸となっていい作品を作り上げるのだという情熱に心打たれました。
仲間と一緒にまた観たいと思います。
みんなで作る楽しい映画
今更サブスクで鑑賞(笑)気になっていたものの優先順位が後ろだったので…。
ここまで有名で話題になった映画のレビューなんて何書けばいいんだ…?一応ネタバレしないようにさらっと。
もしこれから観る方がいらっしゃるなら、最初の30分は肩の力を抜いて、多少の違和感はスルーして観てください。後半ぶったまげます。この映画が90分あることには必然的な意味があるのです。ゾンビであることに必然性は?…ある!映画といえばゾンビだもの!(笑)
ずっと「あー!なるほどー!」って言ってました(笑)素晴らしい脚本。本当によくできた映画。まだ観てない方、今からでも是非!
映画を止めるな!
僅か2館で始った本作。新宿では初日以来連日満席が続いたという。僅か84席のミニシアターでとはいえこれはすごい。かくいう筆者も知らずに行って一度締め出し食ったのだったが、その後拡大公開が広がり、遂に大メジャー日比谷のシネコンまでもが上映することになった。
まったくのマイナー作品である。監督も出演者もまったく無名。高校の映画サークルの文化祭制作といえばだいたいゾンビ映画と相場が決まっているのと同じ程度の自主映画、よく言えばインディーズ。そんな小品が何でこんな騒ぎになっているのか。これはこの目で確かめねばなるまい。
なるほどこれは面白い。いきなり始まる37分ノーカット。廃墟となった山奥の工場跡、ゾンビ映画の撮影現場。そこに本物のゾンビが出現して修羅場と化すその一部始終がものすごい勢いで展開するわけだが、映画の規模こそ違え、昨年の韓国製ゾンビ映画の大傑作『新感染』にも迫る勢いなのである。これだけでも結構面白いのだが、このあと映画は思いもよらない方向へと進んでいく。 『ワンカット・オブ・ザ・デッド』なるタイトルのその映画のメーキングを、そっくりそのまま映画にしてしまうという前代未聞のアイデアである。そこにあるのは、ワンカットでやらなければならないからこそのてんやわんやの撮影風景。うっかり落としたカメラの映像まで止まらない。それこそ修羅場。もう腹を抱えて笑い転げるほど面白い。
これを「映画の発明」とまで言った人もいる。その着想がツボに嵌まりに嵌まって、あれよあれよの96分。観終わっての感想は、今見ていたのはいったい何だったのかとキツネにつままれたような心地よさが残る。メジャーでは絶対にできない、破れかぶれの映画作り。映画の革命だとも言いたい。
劇中映画のラストシーンは、手持ちカメラのクレーンアップによる俯瞰撮影である。こんな小規模作品でいったいどうやって撮ったのかとやや違和感を覚えるが、最後のその種明かしには感動さえしてしまう。映画マニアによる映画大好き人間の映画。カメラを絶対に止めないというその覚悟。ここには「映画を止めない」という映画人間の映画への愛と熱気が溢れている。だから映画は面白い。
じんわり来るところがあって、あと味の良い映画
冒頭からのB級ホラーは、長い伏線になっていて、後半のメーキングのパートに人間ドラマがあるという構成がとても面白い。よくできた構成で、リメイク版が作られるのも納得する。
主人公の監督が中間管理職のつらさの中で奮闘するのに共感してしまう。特に、撮影準備のつらい状況の中で古い娘の写真を見て涙ぐむ場面がグッとくる。この場面を最後で回収する脚本もうまいと思った。
監督やいろいろな人がそれぞれ頑張って、目的を達成するのであと味が良い。ホラーのラストシーンを撮影するための機材がダメになって、みんなでなんとかする場面はベタな感じが気持ち良い。
演技や映像は洗練されてはいないし、カッコ良いシーンはないけど、低予算でもアイデアで面白い映画になるという好例で、良い映画でした。
ユーモアセンスに感服
数年おきに観たくなる。
前半、アマチュアが作ったようなホラー作品を温かい目で視聴する必要があり、それは『涼宮ハルヒの憂鬱』の中の『朝比奈ミクルの冒険』等、アマチュアが作った映画を思い出すのだが、その作品のラストがB級のわりに凄いので鳥肌が立った。
その後メイキングシーンを見せられるのだが、完成までの過程が断然面白い。
視聴中は、役者たちが演技しているということを忘れ、ドキュメンタリーでも見ているかのように引き込まれていた。
ワンカット撮影の大変さや、どうやって撮ったのか氣になっていた部分のネタばらしが一種の伏線回収となって、感心したり尊敬したりと前半の温かい目で観ていた自分が恥ずかしく思えてくるほどである。
そして最も今作の魅力といえるのは、映画を制作している真剣な人たちを愉快な氣持ちで見ることが出来ることだと思う。
笑いを誘うテクニック、ユーモアのセンスが卓越しており、人の心理に関する研究材料としての価値も感じる。
2017年。映画界の話題を独占した映画
製作費は300万円以内。
それで興行収入が日本だけで、31億円以上。
公開されたと国は12カ国。
DVDやその後の配信で更に収益は上がっただろう。
2022年にはフランスで「キャメラを止めるな!」の題名で
リメイクされている。
観てはいないが、とても忠実なリメイクだと聞いた。
「アーティスト」のロマン・デュラスが監督7したと言うから
驚きである。
映画は前半37分が、
『One Cut of the Dead』で、37分でエンドロールになる。
ここで終わったか?と思うが間違い。
その後は37分ワンカットのゾンビ短編映画を頼まれる
日暮(濱津隆之)が引き受ける経緯や
日暮の個性的な妻(しゅはまはるみ))と娘の真央(真魚)との
ホームドラマ形式になる。
意を決して監督を引き受けた日暮はいよいよ撮影に入る。
そして最初の短編のシーンの裏話やネタ話や、妻が急遽メイク係の
代役になり、護身術を披露したり大活躍して笑いをとる。
ワンカットの長回しなんて言うけれど、カメラを抱えて
撮影している監督を、撮影しているカメラマンが別にいるのだから、
違うと思う。
それにしても300万円で完成したのはすごい。
信じられない。
監督一家の妻と娘の父親思いの優しさと、映画への情熱が妻と
娘にも乗り移っているのが微笑ましい。
もう一つ付け加えたいのは、ロケ地となった建物」
ロケの主役は水戸市公認廃墟【旧芦山浄水場】だそうです。
なんともハイカラでしかも近代的。
ここで撮影出来たのは大きい。
ラストも出演者の組体操で締めるあたり暖かくて後味が
最高でした。
世間がざわつき始めて社会現象になる前に劇場で鑑賞!
単館作品でミニシアターが連日満タンでヤバイよってニュースを見て当時全くノーマークだったこの作品を絶対見ようと思い近隣のミニシアターに(車で1時間)念の為に上映開始の40分前に到着するように劇場に行ったのですが初めての現象ってくらい客が居て自分の後ろの人が今回の回はもう満席で次でお願いしますとか言われて実際に劇場に入ったら自分とか臨時のパイプ椅子に座らされて満タンを超える客席での鑑賞になりました!
つうかまだ感想言ってなかった!
最初の本編のシーンで変な間があったり見ていてなんだこれ? 大して面白くないやんけ!って思いながら見てたら30分かからないくらいでエンドクレジットが流れて、アッ!これはやられたわ 誤情報に騙されたって思ってたらその後の制作風景の場面で神が降臨したかのような伏線回収が始まり劇場であそこまでみんなが大爆笑してるのはマジで見た事無いってくらい全員が大笑いしていて本当に劇場でみんなと共有して大笑いするのって最高だなあと思いながら帰りましたよ。
この作品の凄いところは世界中で公開されたのですが
地域差が一切無く監督が狙った場面の笑わすポイントで確実に笑わせるという至難のワザを成功させてるところなんですよね!
その後に劇場を拡大して大手シネコンとかで遅れて公開されたりして凄かったですね。
邦画嫌いもこれは観るべき
舐めてた。
僕は普段邦画を観ない。黒澤明や是枝裕和、濱口竜介など、海外でも名の知れた名監督ならいかん。どう見てもB級映画のポスターに大した金もかけてないはずなのにゾンビ映画をやるなんて、絶対糞映画だと思っていたから舐めていた。
もちろん海外で評価され、リメイクまで作られているのは知っていたが、それは海外の物好きが、余りにも日本映画が面白くなくて逆に面白いと天邪鬼に考えたのだろうと思っていた。
でも、傑作だった。
めっちゃ面白かった。ワンカットでホラーを撮るって言う無茶な企画を最初観た時目が離せなかった。妙な間も演出だと断定して感動した。(多分本当の演出)兎に角胸が熱くなる映画だった。
邦画は適当で面白くないものと思っていたし、実際その通りだが、それをここまで笑いに換えて、逆説的に傑作を産む脚本に感動した。
めちゃくちゃ面白かった。
舞台裏の人間の個性の強さ。偶然の必然で起こる強烈なカタルシス。それらがワンカットゾンビ映画を傑作たらしめていた。これをフィクションとして予定調和で取る技術に脱帽だ。しかも本当にワンカットで撮ってるんだからイカれてる。
傑作です。邦画嫌いもこれは観た方がいい。
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