劇場公開日 2017年12月29日

「鶴巻和哉監督の実力」龍の歯医者 特別版 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鶴巻和哉監督の実力

2024年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

鶴巻和哉監督は素晴らしい監督だと思う。『ガンダム』の新監督に就任されたので、改めて過去の監督作を見直していると、ほんとうにいいセンスの監督だなあと思う。本作は、空飛ぶ巨大な龍を戦争に利用する国があり、龍を守るために歯医者をやっている一族の少女と、敵国の少年の淡い絆と戦いが描かれる。龍の歯からは「黄泉帰り」現象で人が出てくるという変わった設定になっている。敵国の少年は一度味方に裏切られて死んでいる。強大な力と戦争に翻弄される人々の寓話として、スケール感もあって見ごたえがある。
林原めぐみさんが演じた夏目の変身した状態のデザインがすごいカッコいい。同時にこのキャラクターの切ない立ち位置が辛い。龍のデザインもよくある龍じゃなく、バカでかい飛行船のような謎の生物感があっていい。
命が失われていく戦場で「生きるってどういうことなんだろう」と問いかける内容にもなっていて、すごく見ごたえある作品だ。

杉本穂高