劇場公開日 2018年7月7日

「小津安二郎のように」一人の息子 さとるくんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0小津安二郎のように

2018年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

この映画は全く事件がおきません。
映画は普通、ヒーローが格闘したり、銃撃戦をしたり、カーチェイスをしたり。
インディペンデントの映画でも、殺人や、傷害などの事件から。
病死などのドラマティックな事件を描いて、観客を派手に魅了しようとしますが。
この映画では、一切の事件はおきません。
あくまでも普通に生活する主人公に、突然、父の報せと相続人が別にいたという事実であって、刑事事件になることはおきません。
でも事件が起きなくても良い映画は出来るのだなあと思いました。
古くは日本の名称・小津監督ですが、最近でもジム・ジャームッシュが、事件が起きない映画で高い評価を得てますが。まさにこの映画はそれらと同じジャンルだと思いました。
銃撃戦やナイフで血が飛び散るのではなく。
淡々と日常の生活に潜む不安を静かに描いて、色々と考えさせるのです。
役者は舞台でのアイドルですが、芝居は問題なかったです。
時々、脇で芝居が怪しい人はおられましたが。
人が死んだりしないで、CGが出てこない人間ドラマで、リアルに現実の今の人生に潜む悩み、孤独を描いた映画として、良く出来ているなあと思いました。

さとるくん