ザ・フォーリナー 復讐者のレビュー・感想・評価
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ジャッキー meets 007 or 007 feat. ジャッキー
本作を“笑わないジャッキー映画”と評した声があるが、これはジャッキー・チェンとピアース・ブロスナンのダブルキャストの作品だ。娘の復讐のために犯人を追う男と国家と組織のために犯人を炙り出す男。同じ目的を持ちつつも手を組むことのできない不器用さともどかしさ。ジャッキー meets 007と言うべきか、はたまた007 feat. ジャッキーという構成である。
一番の驚きはマーティン・キャンベル監督とジャッキーの親和性の高さだ。これまでもジャッキーはリアル路線のアクションを試みたが、今作はそれが最も良い形で表れた。中でも民宿でのアクションシーンは息を飲む迫力があるし、中盤の森林での1対1の格闘シーンには往年のジャッキーファンも満足することであろう。
だが、本作を単なる娯楽映画と思えないのは、無差別テロという昨今の世界情勢と多分にリンクする点である。本作のジャッキーもブロスナンも求めるところは平和という国家レベルのものよりも、もっと身近な家族や仲間との穏やかな生活にある。それが崩されていくテロリズムの非道さ、残忍さ。犯人側の動きが見えてくるシーンは驚くほど少なく、狙いや動機などが見えづらいのだが、故に理由なく誰が犠牲になってもおかしくない無差別テロの恐怖が漂い、バスの爆破シーンは鳥肌が立つほど恐ろしく描かれている。
終盤の大アクションも決してスカッとするお馴染みの“ジャッキー映画”ではないものの、エンドロール直前の“ある判断”にホッと胸を撫でおろしたのは私だけではないはずだ。
多分何度観ても面白い
ロンドンは街中に監視カメラが設置されていることで有名である。かつては有能だと評判だったスコットランドヤードも、今では監視カメラだけが頼りだ。ダニエル・クレイグの「007スペクター」でも、当局がボンドを追うのに専ら監視カメラ網を使っていた。
さて本作品でもジャッキー・チェンは健在である。爆弾テロの被害に遭った娘の無念を晴らすために、警察当局に迫り、そしてアイルランドの過激派の中枢に迫っていく。監視カメラの目をくぐり抜け、イギリスとアイルランドの政治的な力関係から真実につながる糸を手繰り寄せる。一介の中華料理店の店主がどうしてそれほどの洞察力を持ち得たのか、物語の中で徐々に明らかになる。
ストーリーはテンポよく展開し、プチどんでん返しなどもあって、観ていて小気味がいい。身体を張ったアクションも往年のままだ。ほんの少しだが恒例のトレーニングシーンもある。それに加えて歳を重ねた男の悲哀のようなものが伝わってくる。本作品のジャッキーは明るくて皮肉屋のジャッキーではなく、真面目で悲壮感漂うジャッキーである。
ピアス・ブロスナンは単なる優男だった007の頃に比べて、迫力のある大物を悠々と演じるようになった。本作品では二重三重のベールの影に本性を隠している役で、相手役としての重味は十分だった。
アクションはリアリティがあり、変な愁嘆場でリズムが崩れることもない。無駄が削ぎ落とされた作品で、多分何度観ても面白いと思う。
ジャッキーにとっての汚点となってしまった
『ランボー』+『コラテラルダメージ』=シリアスジャッキー!
2年前に米中で公開されながら日本では公開されず、ずっと待ちわびていた作品。
コミカル要素を封印したジャッキーのシリアスアクション。
『ベストキッド』でもそうだったように老境で寡黙だけど最強!…的な人物を演じる新境地のジャッキーが魅力。
ストーリーは単純で、スタローンの『ランボー』とシュワの『コラテラルダメージ』を足して2で割ったような映画だけど、北アイルランド問題やベトナム難民問題、劇中で多用されるチャイナマンという蔑称からは差別問題なども内包したストーリーとなっている。
『ドラゴンキングダム』でジェットリーと、『80デイズ』(未観)でシュワちゃんと、そして今作で5代目ジェームズボンドのピアースブロスナンと競演したジャッキー。
『エクスペンダルブルズ』への出演も夢ではなくなってきたかも(≧∇≦)!
ジャッキーチェン健在
いつもと違った味
ジャッキーがこれまでとは全く違うキャラを演じたのが、年齢を重ねた今現在なので、別の味を持つジャッキーとして新しい発見を見ることができた。
情けないほどの凹んだ、おやじさんの演技がかなりシリアスで、
これまでのジャッキーファンとしては、受け入れがたいだろうけど
いつまでも、おちゃらけで、ヒョウキンなままでは、ただのおバカ。
カンフーを敢えて使わない設定(なんで?)だが、思わず出てしまったと思われるアクションも、彼が夢中になり過ぎたからではないか?
ブロズナンは、これまでの美貌を売りにしていた時代から、年齢を
重ね、悪役っぽいイメージで売り出した感が最近あって、
これまた、青二才よりは良いのではないかと思う。
何より、大根振りが隠せる。
ストーカーおやじ
シリアスなジャッキー・チェンもあり
いつもはおちゃらけた役が多いジャッキーだが、今回は冒頭10分くらいしか笑顔を見せず、復讐に燃える老人になっていた。政治・外交・テロなど、内容が濃くなっていて見応えのある作品だった。
気になった点は、内容が濃すぎるが故、詰め込みすぎて消化不良気味になってしまった。伏線回収を最後、急ぎ足で図ったため、付いていけないところがあった。
また、主人公は爆弾テロで最愛の娘を無くしており、その復讐のために、犯人の名前を追っていくわけだが、脅迫のために、結構爆弾を使っていて、犯人には、爆弾ではなく銃撃戦で復讐を果たすという、なんだか腑に落ちない感じがした。(まぁ、ジャッキーの格闘シーンを入れたかったのだろうが…)
笑わないジャッキーの凄みが新鮮
ジャッキーが凄い。アクションがやっぱりカッコいいし、やたら強い60代初老おじさんという説得力が出る演技&パフォーマンス。これまでのジャッキーは、ポップで華やかで笑えちゃうアクションで、ファンキーに敵を倒すような印象だったけど、今回はもう何も失うモノがないこの世に恨みしかない表情がすごく辛くて苦しくて、これまでとガラリと違う印象で新鮮でした。
お話に関しても、クァンが劇中で行う判断には納得がいき、理不尽さを感じなかったのが良かったです。衰えた体を鍛える筋トレシーンは「ロッキー」のスタローンを彷彿させます。車のドアで筋トレするところはちょっと笑ってしまった…。(笑)
そして最後の判断も、良かった。不用意に人を殺さなかったりワンコをちゃんと保護してあげてたり、こんな辛い人生を歩まなきゃいけなかったことが見ていて苦しくなる優しさを感じて切なくなりました。ずっと厳しい表情をしていたけれど、ラストシーンに少し微笑みを感じたので、ほっとしました…。
しっかりした秀作
劇場で観てよかった!
少し残念
理解が難しいか
無表情なジャッキーがもたらす緊張感
ジャッキー・チェンといえばカンフーエンターテイメントのイメージだったが、これは空気が重々しい。爆破シーンも多いのでいつ爆発するのか画面を見ているのが怖い。
とにかく「緊張感」の映画だ。北アイルランドの過激派テロに巻き込まれ娘を失った中国移民が自力で犯人を見つけて復讐を果たそうとする……という話だが、その見つける手段が北アイルランドの政治家(昔テロリストでつながりがあると踏んだ)にテロ紛いというかテロそのものの脅しを仕掛けて無理やり聞き出そうとするもの。この政治家も色色裏できな臭いことをしてるんだが、ジャッキーが怖いので可哀想になる。
というか、話の半分くらいは「テロの犯人は誰なのか?」をめぐる政治サスペンスで、これは少し意外だった。むしろ北アイルランド問題に馴染みもない私からすると誰がどういう立場なのか滅茶苦茶混乱した。頭空っぽで見られるアクション映画だと思うと面食らう。そうして混乱しているところに復讐マシンと化したジャッキーが突如襲撃してくるのだからパニックである。政治家の周りではそれぞれの思惑がうごめいているのに、ジャッキーの要求はひたすら「犯人の名前を教えろ」の一点張りなのも怖い。
勿論、ジャッキーが老体に鞭打つアクションも素晴らしい。素晴らしいのだが、たとえジャッキーといえど老いてはいるので若いアクションスターと比べると、スタンドが痛々しい。しかも今作は主人公がとにかく不幸オーラを漂わせているので拍車がかかる。それはそれで「迫真の演技」に間違いないのだが。
それと、結局ジャッキーは中国人なのかベトナム人なのかアメリカの特殊部隊にいたのか。
ジャッキーがシリアスな役回りで出るという触れ込みで見たが、単にシリアスなアクション映画ではなく、しかしカンフー映画のエッセンスは感じる、面白いが何だか不思議な映画だった。
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