「男の哀しみと復讐の行方」ザ・フォーリナー 復讐者 テツさんの映画レビュー(感想・評価)
男の哀しみと復讐の行方
ズシリとくる復讐劇とDIYトラップの数々に重量感のあるアクションとほんのりジャッキー要素を添えたハードなリベンジアクション映画でございました。
復讐映画ではあるものの、爽快感も無双もない、ひたすら復讐という狂気に取り付かれたかのような父親の悲哀と邁進をドライな視線で描く作品。
クワンはテロで娘を失ってしまう。犯人を知りたい彼は犯行グループに属していた北アイルランドの副首相にコンタクトを取ろうとするが…
冒頭、いきなりの爆発て容赦なく奪われる命、クワンの悲痛な表情や警察に足繁く通う姿にジャッキーを感じさせない雰囲気を漂わせ、中国人(チャイナマン)と舐められている感じが前振りとも言えるだろう。
ピアースブロスナン演じるヘネシーは元過激派団体所属の副首相。しかし、今回のテロを起こした仲間たちという存在に自らの立場を脅かされていた…
クワンはヘネシーが手がかりになると考え、接触を謀る。しかし、知らないと言われたクワンが取る行動…ここから彼の隠された過去とスキルが徐々に姿を現してくる。
トイレの爆発をしてからすぐに連絡、車へ仕掛けた罠、仕向けられた襲撃に対する動き(ポールで降りる姿はジャッキーっぽい?)…中国人と舐めていたヘネシー達はクワンに追い詰められていく…
復讐に取りつかれ、ヘネシーが犯人を絶対に知っているだろうという考えに邁進し、狂気とも言える執念を見せるクワンと身内とクワンという2方向から追い詰められていくヘネシー…
ヘネシーを演じるピアースの演技もこれまた魅力的で、ジャッキーとピアース両者ともにかつてのイメージを脱ぎ捨てるような熱演っぷりだ。
ヘネシーが逃げ込んだ別荘での、クワンが見せるスキルとトラップの数々に翻弄されるヘネシーの部下たち。時折ジャッキーっぽい?を思わせる描写がありつつも、身も心もボロボロながらも復讐という目的のために執念を見せるクワンの姿は痛々しくもの悲しい。
復讐の果てにもどこか虚しさを感じさせる…
1人の男が復讐という目的のため葬り去った過去のスキルを用いて邁進する姿に深い悲しみや虚しさを感じさせるズシリとしたリベンジアクション大作