「クレーム客に寄り添う」マスカレード・ホテル akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
クレーム客に寄り添う
奇妙な暗号(タグ)がついた連続殺人事件が三件連続で勃発。手口はみな異なり、被害者になんの繋がりも見つからない。しかし、タグは4件目の殺人を予告していると、新田刑事(木村拓哉)が暗号を解読し、警察はホテル内での犯行を未然に防ぐためにホテル支配人と協力して刑事たちをホテルに潜り込ませる。
というところから、物語は始まる。言葉で説明すると長いが、演出のテンポはすばらしい。あとから徐々にわかる仕掛けになっている。
ホテルの警備を強化するために警察が捜査本部ごと、犯行予告のあったホテルに居を構え、しかも捜査員たちを一部ホテルの従業員とすり替わらせるという、ある意味とんでもない作品。それが数時間ではなく数日に及ぶところがこの作品のユニークさだと思う。
タイトルの意味を深読みすると、この作品が仮面をつけた刑事たちによる偽物ホテルという意味だけではなく、世間一般のホテル自体において、ホテルに泊まりに来るお客様というものは、素顔ではなく仮面をつけてやってくることが多いという意味も含まれている。
木村拓哉、長澤まさみというベテラン同士の新しい組み合わせが成功している。
刑事ドラマなんてものは、大概無茶苦茶なものだから、この映画の犯人や犯行、捜査会議に難癖をつけても仕方ない。
名古屋と犯行現場以外、ほぼホテル内だけで話を展開させた製作陣。
第四の犯行が、ホテル内で行われることは確実なのだろうが、映画をホテル内だけの話にしたことは、冒険であった。
松たか子の盲目の老婆は、なかなか秀逸であった。芝居がかった老婆がまさに見た目通りであったのだから。
生瀬勝久のクレーム客も、わかりやすくていい。まあ、偶然が重なりすぎてはいるが。
菜々緒演じる謎の宿泊客も、伏線になっている。
出演は、小日向文世、梶原善、濱田岳、高嶋政宏、田口浩正、石橋凌、渡部篤郎、鶴見辰吾。