劇場公開日 2019年1月25日

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「全く異なる世界に生きてきた2人だからこそ心を開ける、人間愛が観る者を幸せにする」ヴィクトリア女王 最期の秘密 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0全く異なる世界に生きてきた2人だからこそ心を開ける、人間愛が観る者を幸せにする

2019年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

本作は、ほぼ実話をベースにして作られた作品だそうだが、何だか作品を観ていると実際に有った事とは信じられないような数々のエピソードに思わず笑みがこぼれてしまった。

ジュデ・ディンチ演じるヴィクトリア女王がとてもキャラ的にチャーミングで、魅力的だ。
世界中に植民地支配を展開していた当時のイギリス女王なら、誰でもが気難し屋で、怖い権力思考の筈と本気で信じていただろう。
ましてや、インド人のアブドゥールから観たら、決して彼の個人的な天敵でなくても、自国を植民地化した国の女王様なのだから、その人が人間味溢れ、本当は気さくで、シンプル且つ偏見がない懐の大きな優しい方だったと誰が想像出来る?

身分・国籍・年齢そして習慣や言葉も異なる人間同士、共通点が何一つなさそうな人間関係に果たして友情は成立出来るのか?
本作は有る意味では、女王とその身分違いのムンシ(先生)との友情物語だから、インド人である使用人からみれば、逆玉の輿のような出世物語とも言える。
でもこの2人の関係が、嫌味な感じが全くなくて、むしろ観ていて楽しくなるような作風に仕上がっているのは、ジュディとアリの息の合った見事な芝居が巧く生きているからこそだと思う!

人間って逆に違い過ぎる2人の間だからこそ、敢えて本音で付き合えると言う事が有るのかも知れない。
本作を観ていると人間の善い部分に光が当てられているようで、人間として生きる事に自信と希望光を見出せるような作品だった。

まあそんな2人の関係を面白く思わないヴィクトリア女王の周囲の人物も多数描かれてはいるものの、それはそれとしてサラリと流せて観られてしまいました。

そしてもう一つこの作品の素晴らしさは、ゴージャスなロケ地の数々!
宮殿や庭園、そして別荘に至る迄ゴージャスで見事!映画として充分に楽しめる作品だったので、そこまでしなくても良いかな?とか思いましたけど、みなさんはどう思いました?

今、我が国でも、皇室のご成婚問題で色々有りますが、我々庶民の様に好きだ、嫌いだだけで婚姻が出来るお話では無い問題だけに、余計にこの映画が、映画の世界に留まらず、身近なリアルな物語として興味深く、面白く観られた気がしました。
「ドライビング・ミスデージー」同様本作も人間愛に溢れる映画で観ていて気持ちが穏やかになれる作品でお気に入りの作品となりました!

ryuu topiann