劇場公開日 2019年1月25日

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「孤独な晩年にもたらされた輝きの日々」ヴィクトリア女王 最期の秘密 しげぴいさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0孤独な晩年にもたらされた輝きの日々

2019年1月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

初っ端は唯のお戯れの
おつもりだったのかもしれない。
長身のエキゾチックなハンサムへの
ほんの細やかな興味心は
日々の生活に欠くことのできない
極めて密な存在に膨らんでいく。

本作での女王とムンシの間には
愛情>友情のニュアンスが
あちこちに散りばめられている。
手を取り「わが息子」と声をかける姿には
素顔を迂闊に見せられぬ女王の孤独が
如何ほどのものだったのかが窺われる。

帝国主義における被支配国は
決して被搾取一辺倒ではない
新たな技術や文化が持ち込まれ
地域の発展を後押しする側面も。
アブドゥルが生まれたインドには
既に英国の息がかかっており
彼にとって彼の地はきっと
恵みの国だったかもしれない。

在位六十年記念式典の
女王の佇まいに衝撃。
説得力あるメイクアップが
ワンカットでいきなり
十数年の時を飛ばす。

……………………………………………………………………………
2019.1.27 MOVIX亀有にて1回目
冒頭からため息が漏れる。
タージ・マハルの壮麗さ
港にひしめく大型帆船
記念式典の華々しさ
その裏方たちの慌ただしさ
一気に物語に引き込まれていく。

いきなり女王の靴に接吻する
物怖じしないアブドゥルに
女王はどんな魅力を感じたのか?
出世欲や保身にまみれた
忠臣たちには見せることのない
プライベートな表情を
アブドゥルには見せていく。
重責と孤独に苛まれていた女王が
みるみるチャーミングになっていく。

女王の威厳や重厚感
かと思えば軽やかなユーモア
加えて老女独特の可愛らしさ
この役はジュディ・デンチの他に
考えられないほどのはまり役。

しげぴい