「ガルヴェストン同様、女性監督が作ったことの意味について考える。」マルリナの明日 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
ガルヴェストン同様、女性監督が作ったことの意味について考える。
強いて言えば、クエンティン・タランティーノ監督の西部劇をインドネシアを舞台にしてつくった(日本人的には、黒澤明監督の影響も受けている、などという監督インタビューでもあったらとても嬉しいのですが、観てないかなぁ)というテイストです。
インドネシアのたぶん相当な僻地の村が舞台。
死者のミイラ化保存とか、盗賊が狙うのは金銭ではなく牛や馬、というのが少なくとも携帯電話のあるほぼ現代と思われる世界での実相として正しいのかどうか想像もつきませんが、映画の中で描かれるような出来事があっても不思議ではないと思わせることに成功しています。
最近、女性の受ける性暴力のことが不幸というか残念というか話題となることが多いですが、公開中の『ガルヴェストン』でも分かるように、先進国であろうが、発展途上国であろうが、どうしようもない男はいるし、トランプ大統領のように充分な教育を受けていようが、性奴隷を強要したISのように幼い頃から偏った思想に洗脳された人であろうが、根本的に女性を見下している人が一定数はいるのが現実です。
最近、日本でのレイプ裁判で、同意がなかったことは認めたが、抵抗できるのにしなかったから無罪、という専門家でない一般人の感覚からは驚天動地の判決がありました。物理的に抵抗できる状態であったとしても、心理的に抵抗できないことや圧倒的な体力差から諦めてしまうことについては考慮されないのだろうか?と男性からみても納得できなかったのですが、女性監督がこういう映画を作り続けなければいけない現状を肌で感じるだけでもとても意味のある作品だと思います。
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