「みんなひとりぼっち」台北暮色 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
みんなひとりぼっち
アンストを起こすボロ車に乗っているフォンは.高校時代の恩師の家に家族同然に往来する。
その家の中では家族である人々がギスギス暮らしている。
インコを飼う女性も訳ありで台中にパトロンのような愛人がいるが実は香港に子どもとその父親がいる。
ポストイットに書かれた時間と用事を見るように見ないと忘れてしまうからと母親に諭される男子は兄を亡くしているのか、ポストイットを拒絶し新聞やラジオで人、家族、家に関わるような話を切り取り書き写している。異様におしゃれな部屋はお兄さんの部屋だったのかな。
フォンはいう、距離が近すぎると。
距離が近すぎると愛し方がわからなくなる、忘れてしまうと。フォンも両親が離婚し苦い母親の思い出。家を出てから帰ってない。
家族とか親族なんかである必要はなくて、それでも、ふと気づけば隣に誰かいたりまたいなくなったり、嫌でも家族だから一緒にいたり。
妻や息子や孫に不機嫌な父親と、インコを飼う女性の愛人は人を支配しようとあれこれ命令する。近すぎる距離、被害と加害を生む距離。
台湾の家族と家族以外が混じる食事のシーン。
車、地下鉄、雨、景色はいつもしっとりとして人に寄り添うようだ。台湾という土地の、良いイメージの通り。
ホオシャオシエン監督の後継というより、雰囲気はウォンカーウェイという感じの洗練されたおしゃれな映像でもあるが日本語タイトルになっている台湾暮色の通り台湾の湿度ある温もり冷たいけど温度がありひとりぼっちだけど完全にひとりではない感じ。
ジョニーに間違えてかかってくるジョニーと繋がる人たちもなんだか心強いではないか。みんなひとりぼっちだけどみんなそれなりにリーンオンできていたりする。