「少年は身の毛がよだつ悲劇を射る」聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0少年は身の毛がよだつ悲劇を射る

2019年6月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

難しい

『女王陛下のお気に入り』を見たので、まだ見てなかったヨルゴス・ランティモス監督作品を。その2。
カンヌ国際映画祭脚本賞受賞の2017年の作品。

『女王陛下のお気に入り』も『ロブスター』もブラック・コメディ調の作品だったが、こちらは不穏なムード漂う不条理スリラー。
ミヒャエル・ハネケの『ファニーゲーム』を彷彿とさせた。

美しい妻、二人の子供、何不自由なく平穏に暮らす外科医のスティーヴン。
そんな彼が一人の少年マーティンを招き入れた事をきっかけに…。

マーティン役のバリー・コーガンが異様な存在感を放つ。
初見時から、虚ろな目、覇気や精気の無い表情に何とも怪訝を感じた。
しかしひと度口を開くと、お喋り好きで、礼儀もわきまえ、スッと懐に入ってくる。
好青年のように思えるが、でも何処か厚かましさも…。

彼と知り合ってから、奇妙な出来事が続発する。
子供たちが急に立てなくなり、食べれなくなり、目から出血を…。
マーティンは一体何者か…? スティーヴンに近付いた目的は…?
やがてスティーヴンも、究極の選択を強いられる…。

不穏なムード漂うスリラーと言うより、もはやホラーと言っていい。
不協和音のような音楽も耳に響く。
目を背けたくなるようなシーンから始まり、終始身の毛がよだつ。

マーティンの目的も徐々に明かされ、ムードも話も一級のスリラーかと思いきや、
やはりランティモス作品。難解。
ギリシャ悲劇をベースにしており、話の筋は追えても、本当の意味はなかなか分かり難いものがあるだろう。
この不気味さだけでも感じれれば…。

コリン・ファレルは円熟の演技。
ニコール・キッドマンは相変わらずお美しい。ベッドの上で悩殺ポーズあり。
長女役の女の子が、『トゥモローランド』のアンドロイド少女だと知ってびっくり! 大きくなった~。

近大
ハルクマールさんのコメント
2023年11月26日

途中で話についていけず、ニコール・キッドマンを愛でる映画になりました。
説明不足は狙い通りなのだと思いますが、バリー・コーガンの存在感にやられましたね。

ハルクマール