「荘厳な劇伴が彩る骨太の実話ドラマ」ザ・シークレットマン よねさんの映画レビュー(感想・評価)
荘厳な劇伴が彩る骨太の実話ドラマ
フーヴァー長官の元で実質FBIを統括する実力者で次期長官も確実視されていたGメンの中のGメン、副長官フェルトは1972年フーヴァー長官の急死後、ニクソンの一声で門外漢であるグレイが長官代理の座に就いたことで挫折を味わう。そんな折ウォーターゲート事件が発覚、捜査を指揮するフェルトはたびたびCIAに妨害され、果ては機密情報をグレイがホワイトハウスにリークしていることを知り激怒、旧知の仲だったワシントン・ポストのウッドワード記者に接触、事件に迫る重要なキーワード、人物名を少しずつ示唆し始める。
黙々と国家の為、組織の為に尽くしてきた男が静かに怒りを滾らせた”ディープ・スロート”と化す様を静かに見つめる地味なドラマですが、全米を揺るがす行動に勤しむ一方で妻を深く愛し、自ら手紙をしたためて音信不通の娘を探し続ける家庭人でもあるフェルトを演じたリーアム・ニーソンの深い示唆に富んだ佇まいが印象的。終始淡くグリーンが強調された冷たい映像は美しく、オーケストラ主体の荘厳な劇伴も相俟ってずっしりと重たい大人のドラマとなっています。
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