「卒業したくない僕ら」あの頃、君を追いかけた U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
卒業したくない僕ら
なかなかに切ない物語だった。
台湾で大ヒットした映画のリメイクという事だったので、どんなもんかと鑑賞してみたら…うん、これは、最大公約数的な共感を得られる内容だった。
まぁ、ぶっちゃけ斎藤飛鳥さんに釣られたのだが。
ハッとするような深い台詞もあって、味わい深い。日本の恋愛映画のような世界観でもなかった。
この辺りは韓国映画と通ずるものもあるようで、ロマンチックな題材でありながら、ロマンチックに終始しないというか、夢だけを見せはしない感じだった。
高校時代の甘酸っぱさもバツグンで、あの頃が過ぎる。あー、アイツ元気にしてるかな、なんて事を思ったりする。その時期の男子の解放感と男子目線の女子の浮世離れ感を存分に思い出させてくれる。
山本氏と斎藤さんもナイスなキャスティングだった。
前後に位置する教室の席順なんかキュンキュンしっぱなしだ。横位置のフレームが切り取られた2人の世界を表現してくれる。
台湾がベースなので日本の事情とは異なる部分もあって違和感を覚えもするが、物語なので言及はすまい。
さて、この話はハッピーエンドなのであろうか?
どっちでもないような気がする。
映画に幕は降りても、人生の幕は降りない。
それと同じで、この映画の幕引きではなく、未だ進行系のような気がしてる。
そんな感想を抱いたのが結構新鮮だった。
日本映画の文法的にはそのエンドマークが必須な風潮もありはするんだけど…節目、というのかな。
色んなエピソードが収束していった結果の提示とでもいうのだろうか。
今作にはそれを感じなかった。
人によっては「垂れ流しかよ?」って感想にもなると思われる。だけど、なんかコレで良かった。
まだまだ未完であり、浩介と真愛が結ばれる未来があるのかもしれない。
妄想の数だけパラレルワールドは増えていく。
いつか想いが遂げれる日がくればいいと思う。
そんな事を考えるくらい山本x斎藤は好感がもてた。
まぁ、お目当ての斎藤さんは期待以上に堪能できたので満足。そして予想以上に良く出来た物語でもあったので得した気分だ。
彼女達はおそらく特殊な状況下にいて、普通の人達とは違う思春期であったのだろうなと思う。
斎藤さんにとっては、この映画の世界観こそがパラレルワールドの一つでもあるのかもしれないと考えると、ほっこりする自分もいる。
だけれども、この作品が語るもの同様に時間は逆行する事はなく、分岐を選択し直す事もできはしない。
考えるだけ無駄ではあるのだけれど、それらを後悔と一括りにしてしまうような未来にせぬように歩いていきたいなあ。