バトル・オブ・ザ・セクシーズのレビュー・感想・評価
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男女同権とは自由らしい生き方をする権利
思っていた以上に素晴らしく、感動した作品だった
もっと軽めのコメディタッチの作品かと思っていたら、そうではなく、
男女同権を訴える勇気ある女性の物語だった
1973年 女子テニス世界チャンピオンのピリー・ジーン・キングは、テニス界における女性の地位向上のために戦っていた
そんなピリー・ジーンに対し「男性至上主義」を訴える55歳の元男子テニス世界チャンピオンのボビー・リッグスが挑戦状を叩きつける
そんな2人の試合は全米から注目を集めるようになり…
今から45年前の1973年は
「女が男に勝てるはずがない」と言われ、
「女は台所にいればいい」と言われていた
もしも今、そんなことを言われたら
「なんて時代遅れな!!」と思ってしまうけれど
それは、この映画の主人公ビリー・ジーンのように女性たちの権利を求めて闘った人たちがいるからである
この映画がいいなと思ったのは、その世紀の戦いだけを描いたのではなく、そこに至るまでの2人の葛藤を描いているところだった
ビリー・ジーンもボビーも、世界チャンピオンになった経験があるアメリカの偉大なテニスプレーヤーである
そんな2人も、私生活に悩みを抱え、時には感情的になってしまうこともある
特に現役プレーヤーのビリー・ジーンは、感情に支配され、勝てるはずの試合を落としてしまうこともあった
その一方で、ボビーは「ギャンブル癖」を克服出来ず、妻から離婚を言い渡されていた
そんな彼らの姿は、偉大なるテニスプレーヤーにも、普通の人たちと同じような悩みがあることを示している
そして、世紀のテニスマッチ「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」は、
彼らにとっては自分自身との戦いであり、自分らしい生き方を手に入れるための戦いとなっていく
つまり、それまでは何をするにも男性上位だった社会の中で、女性が男性と同等の権利を手に入れたいと主張するのは
「男性だから」「女性だから」という垣根をなくし、「人として自由に生きる権利」を手に入れたいと主張しているということなのだ
「ラ・ラ・ランド」でオスカー女優となったエマ・ストーンは今回も素晴らしい演技を見せてくれる
前回とは、全く違うエマ・ストーンに驚かされた
戦う時の彼女は、まさにプロテニスプレーヤーの顔をしていて、気迫がみなぎっていた
人は、自分の主義主張を通すためには、時には渡りたくない橋を渡らなければいけない時もあって、それを乗り越えた時、ようやく、これまで見たことのない景色が見えるようになるんだなと思った
何かに挑戦したいと思っている人にオススメの作品
きっと勇気をもらえるはず
ビリー・ジーンの真の敵はボビーにあらず
女子テニスの地位向上を掲げるも、内に秘めたセクシャリティに戸惑うビリー・ジーン。片や男性優位主義を掲げてモハメド・アリやアンディ・カフマンばりにビリーを挑発するも、私生活では妻に愛想を尽かされ四面楚歌なボビー・リッグス。
両者ともテニス界ではそれなりの地位にいながらも、裏では苦悩する者同士共通しているという描き方が面白い。そんな両者を支える人物の名がラリーというのも、なんたる奇縁か。
そしてビリーの真の敵はボビーにあらずという…
増量して役作りに挑んだエマ・ストーンはさすがの二の腕。そしてスティーブ・カレルの冴えるノリノリ小バカ演技。
久々に見たエリザベス・シューの顔はシワが目立っていた。でもそのシワが実にいいシワをしていた。
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