「作品自体もフェアな視点を貫いた傑作」バトル・オブ・ザ・セクシーズ ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
作品自体もフェアな視点を貫いた傑作
まずキャスティングに注目したい。
主演の座は二転三転し、一時は「ルーム」や来年公開予定のマーベル最新作「キャプテン・マーベル」で主演を務めたブリー・ラーソンで企画が進んでいたが、製作側の猛プッシュで昨年ラ・ラ・ランドでアカデミー主演女優賞を受賞せたエマ・ストーンが最終的に主演の座を射止めた。
ハリウッドをはじめとする#metoo運動を象徴とするような運命を背負ってしまった本作。やはり今この映画のビリー・ジーン・キングを演じることができるのはエマ・ストーンしかいない。
しかし、本作は決して女性が男性を打ち負かして万歳ー!といった単純な思考回路ではないところがよい。対戦相手となるボビー・リッグスを演じたスティーブ・カレルの演技も素晴らしく、彼は女性の敵の象徴として試合に臨むが、彼は真剣に闘った。そして奥さんとの関係、子供との関係と、色んな角度から彼のダメさというのが描かれていくのだが、"悪"としては決して描いていない。(煽られてとんでもない性差別発言をしてしまうところは決して許されないが)
映画自体がどちらの味方をするわけでもなくフェアな視点を貫いているのことが、「ただ男性と対等に扱わることを望む」というビリーの思い、作品のテーマともバッチリ合っている。私は文句なしの傑作だと思う。
撮影監督はラ・ラ・ランドでエマ・ストーンを生き生きと映し出したリヌス・サンドグレン!監督はリトル・ミス・サンシャインのジョナサン・デイトンとバレリー・ファレス夫婦、製作は次回007での監督も決まっているダニー・ボイルときたら何かが起こりそうな気がしてならなかった。(笑)
劇中の女性達が述べていることは全部正しい、というかそれって普通だろ?!っていうレベルなのですが、こんな差別が本当にあり、未だにいたるところ(特にハリウッド)では根強く残っている。
ベネディクト・カンバーバッチが「私は女性俳優にも対等にギャラが支払われる作品にしか出ない」と明言し、顔だけでなく心までイケメンであることが証明されたのですが、暴漢に襲われていた男性を救ったというニュースがあり、映画の中だけでなく現実でもアベンジャーズ であることが証明されました。
最後は全く作品と関係なくなりましたが(笑)ハリウッドセクハラオヤジはカンバーバッチ君を見習って欲しい(笑)