「真の主役は、炎ではなく「風」だったかもしれない」アバター ファイヤー・アンド・アッシュ Akiさんの映画レビュー(感想・評価)
真の主役は、炎ではなく「風」だったかもしれない
タイトルが示す通り、今作のメインテーマは「炎」と「灰」。荒々しい破壊や怒りが描かれる物語です。
しかし、映画館を出た私の脳裏に一番強く焼き付いていたのは、燃え盛る炎の赤ではなく、どこまでも広がる空の「青」と、そこを駆ける「風の商人(ウィンド・トレーダーズ)」たちの姿でした。
正直に言います。
この映画の映像美の極致は、彼らにあります。
重力から解き放たれたデザイン
これまでのナヴィ(オマティカヤ族やメトカイナ族)も魅力的でしたが、今回の「風の商人」たちは、デザインの方向性が少し違っていたように感じました。
彼らは「パンドラの遊牧民」。
巨大な飛行生物と一体になり、空を住処とする彼らの姿には、どこか宮崎駿作品の「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」に通じるような、ロマンと哀愁が漂っていました。
風をはらむ独特の衣服の質感、空の色に溶け込むような肌の模様。
ドルビーシネマの漆黒のスクリーンの中で、彼らが極彩色の空を舞うシーンは、もはや映画というより「動く宗教画」を見ているような神々しさがありました。
「戦闘」の既視感を吹き飛ばす「浮遊感」
今作、ストーリーに関しては「また人間と戦うのか」という既視感を覚える場面も正直ありました。地上での戦闘シーンは、重厚ですが少し息苦しくもあります。
だからこそ、「風の商人」のシークエンスが清涼剤として機能していました。
彼らが登場すると、画面の閉塞感が一気に消え去ります。
ドルビー3Dの奥行き表現も相まって、まるで自分もイクラン(あるいは彼ら独自の飛行生物)に乗って、風を切っているような錯覚に陥るのです。
あの浮遊感、風の音、高高度の冷たい空気感。
こればかりは、配信やテレビ画面では絶対に味わえません。
彼らが示した「パンドラの広さ」
第1作で「森」を、第2作で「海」を知りましたが、今回「空(風)」の民が登場したことで、パンドラという惑星の解像度がさらに上がりました。
怒りに燃える「灰の民」との対比として、自由で掴みどころのない「風の民」を配置したキャメロン監督のセンスには脱帽です。
もしこれから映画を観る人がいるなら、ぜひ彼らに注目してください。
ストーリーを追うのを一瞬忘れて、ただただ彼らと共に「空を飛ぶ」体験に身を委ねる。
それこそが、今回のアバター体験で最も贅沢な時間になるはずです。
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