「2作目の汚名返上。厳しめに見ても90点、劇場必見の映像体験」アバター ファイヤー・アンド・アッシュ らららいさんの映画レビュー(感想・評価)
2作目の汚名返上。厳しめに見ても90点、劇場必見の映像体験
1作目は90点、2作目は60点。そして3作目の今回は満を持しての90点とさせていただく。
初代はストーリーこそシンプルだったが、ファンタジーを「現実」と錯覚させる異常なまでの映像美で世界に衝撃を与え、歴史に残る作品となった。対して2作目は、舞台が海に変わっただけで物語に進展がなく、「映像が凄いだけ」という印象が否めず、シリーズへの期待値も下がっていたのが正直なところだ。
だが、今作はその失望感を良い意味で大きく裏切ってくれた。これまでの展開を踏襲しつつも物語は確実に前進し、1・2作目の集大成と呼ぶに相応しい「迫力」と「本格さ」が徹底されている。
(1) エイワの正体、その核心へ
これまで「死後の世界」や「概念的な存在」として描かれていたエイワだが、今作ではついにその核心に迫る。単なる魂の保管場所ではなく、そこには明確な「巨大な意志」が存在した。「母なるエイワ」という言葉が比喩ではなく、個としてのビジュアルを持って描かれた展開は衝撃的だった。
(2) チケット代以上の価値がある戦闘シーン
後のことは知ったことかと言わんばかりに、アイデアと予算を全部乗せしたような決戦シーンには出し惜しみがない。前作の巨大クジラ「トゥルクン」が赤子に見えるほど巨大な、全長100m級の「トゥルクンの長老」が登場。彼らが戦闘兵器へダイブするシーンの迫力は凄まじく、悠長にポップコーンを食べていた観客が圧倒されるほどの情報量だ。この映像体験には数万円の価値があると言っても過言ではない。
(3) 宿敵・クオリッチ大佐との決着
執拗に主人公を追い回す「不死身の銭形」ことクオリッチ大佐。人間臭く憎めない彼との因縁にも、ついに終止符が打たれる。個人的には主人公側への寝返りを期待していたが、想像の斜め上を行く、しみじみとした幕引きが用意されていた。これはこれで良い裏切りだったと感じる。
(4) 「痛み」を伴うシリアスな描写
本作は単なるファンタジーの枠を超え、自死や「多数のために愛する者を犠牲にするか」というトロッコ問題など、極めて現代的で重い倫理テーマに踏み込んでいる。特に、過去の虐殺を生き延びたがゆえに体が半壊したがかろうじて生きているトゥルクン(鯨)の描写は今思い返しても胸が締め付けられる。その痛々しい姿とトラウマの記憶は、観る者の心をえぐるようなリアリティを持っており、この容赦のなさが作品に「重み」と「本格さ」を与えている。
まとめ
2作目で離れてしまった人も多いと思うが、今作はその失望を確実に上書きする力作だ。
あえて野暮をいうなら、ストーリーにもうひとひねり欲しいという不満がないわけではない。しかし、全世界が注目する超大作として、誰一人置き去りにしないための「深み」と「分かりやすさ」のバランスを考えると、この脚本が最大公約数的な完成形と言える。
最後にこれだけは言わせてほしい。この圧倒的な世界の「質感」は、劇場という環境でなければ伝わらない。配信を待つのではなく、今すぐ劇場へ足を運ぶべきマストな一本である
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