「物語はリフレインしながら螺旋状に進む。」アバター ファイヤー・アンド・アッシュ いま〜じゅ太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
物語はリフレインしながら螺旋状に進む。
大前提として、美しい映像表現を通して緻密にデザインされたパンドラという星を味わうことがこのシリーズが意図していることだと踏まえておきたい。
IMAX HFR 3Dで2回鑑賞した上でこれを書いている。確かに3作目ともなると、1作目を最初に観た時のような衝撃はもはやない。でも、私はこの3時間強の作品に陶酔し、えも言われぬ幸福感にたっぷりと浸った。またパンドラに赴くことができたことを本当に嬉しく思う。このシリーズにおいては、劇場はパンドラへ通づるポータルになっていて、「映画を観る」という行為を別次元にアップデートしたのだと、本作を観てみて改めて思う。
さて、この作品への賞賛の声と共に、既視感が強いことや前作までを彷彿とする「繰り返しが多い」こと、マンネリズムに陥っているのでは?…等々の声も聞こえてくる。私も同じように感じた部分があり、ここをどう捉えるかで、評価が真逆になると思う。私の捉え方について結論を言えば、キャメロンは確信犯的に過去作のシーンをリフレインするように撮ったのだと思う。物語を直線的に語るのではなく、螺旋状にループしながら少しずつ新しい要素が加わっていくような語り方を意図して選んでいるように思われた。
元々、キャメロンは奇を衒うようなストーリーを語らない。シンプルなストーリーで惹きつけてその舞台となる世界へ誘うことに主眼がある。だから、特にこの「パンドラ」という星とその世界のありようを体験させることの方に比重があるので、ストーリーをどんどん先に進めることよりも、ストーリーが進むにつれて観るものにこの世界観の理解を深化させることの方が大事で、そちらに注力しているように私には思われた。あくまで、「パンドラという星がどのような星なのか?」が主題で、この星の新たな側面を見せ体験させることの方が大切にされている。私自身の個人的な感想としても、パンドラという星を体験しながら、登場人物達と共に少しずつこの星の全体像に近づいていく体験を存分に堪能させてもらったような気持ちになった。
とはいえ、その緻密に構築された世界を舞台に、前作で張られていた伏線を回収しながら、きちんと各キャラクター像を掘り下げてもいた。物語をリードするのは兄を失ったあとのロアクの成長。自分が何者なのかという問いに直面していたキリのエイワとの繋がり。人間でありながらナヴィの方にシンパシーを感じつつ2人の父の間で揺れるスパイダー。キリとスパイダーが明らかにキーパーソンになっており、物語に深みをもたらす。そして何よりもクオリッチをただの悪人として描くのではなく、彼の人間性に触れながら感情面を描いていること、その発露に触れてジェイクは彼と対峙し倒そうとするだけでなく、ナヴィとしての彼の目を開かせようと試みるあたりにはグッとくるものがあった。
なので、見た目としての既視感の方に囚われることなく、前作までとのニュアンスの違いや変化の方に注目しながら観ると、見え方が変わってくるように作られており、決して同じことの繰り返しになってはいないと私は思う。
何はともあれ、没入できる超ハイクオリティな映像の説得力。ストーリーを云々する以前に、何よりもそれが本作の最大の魅力であることを忘れてはならない。作り込まれた美しい映像にとにかく浸るのが本作の楽しみ方に他ならない。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
