「キャメロン監督、あなたが見えません・・・。」アバター ウェイ・オブ・ウォーター デースイさんの映画レビュー(感想・評価)
キャメロン監督、あなたが見えません・・・。
自然を賛美するのは結構だが、アンチテーゼとして文明や発展を忌避しすぎていて3時間はかなり苦痛だった。
また行動や結論が極端で、スカイピープルとナヴィと双方に共存の選択肢がないのも理解に苦しむ。
登場人物の誰にもほとんど感情移入ができなかった。
兄弟のやるせない気持ちと、大佐の個人的な復讐心がギリギリやっと少しわかるというところ。
住めなくなるくらい地球の環境を破壊をしてしまった人類が、ようやく見つけた退避場所の星パンドラに先遣隊が乗り込むとして、まず広大な森林を燃やすと思うかな。
かなり先の未来の話として、今だって都市開発には緑地は必須なのに、このスカイピープルの拠点構築がスチールばかりなんてありえるの。
ナヴィとの交渉は決裂と早々に判断して占領する気満々だけど、軍隊は陣地拡大よりも、大佐とジェイクの個人的な対決をなんで優先したんだろう。
そして、ジェイクの居場所を探すのに軍の航空機や船舶を使わず、民間船を拿捕する必要があったのだろうか。
民間船の捕鯨モチーフはさんざん言われているので割愛。捕鯨を行っている日本人が不愉快に思うのは、まったくその通りだと思う。
彼らは経済的に裕福になりたいということで下衆な生業をしているように殊更に見せつけていたけど、なんで大佐に与してジェイクや海の民たちと命を賭して戦ったのかな。
結局全滅しているし。
そうそう、スパイダーはこの戦闘の合間で逃げるチャンスはたくさんあったよな・・・。
ジェイクも家族が絆だとか家族を守るとか、いちいち言う割りには、息子たちの感情の起伏がまったく汲み取れていないし、説明しようとすると黙らせるしで家族愛は感じない。
大佐の攻撃から森の民を守るためにジェイクたちが森を離れるのはわかるとして、孤立無援の場所に行くと思ったら、海の民のところに行くのはおかしいでしょ。
海の民が犠牲になるじゃない。そして実際にその通りになる・・・。
海の民の族長は、憎しみの連鎖を断つのがトゥルクンウェイだとドヤって語ってたのに、気心が通じていたトゥルクンが無残に殺されたときに、我慢の限界よろしく怒りに任せて武器をもって立ち上がってしまうのは???だった。
何か裏があるのかと思ったら何もなかった。
そのトゥルクンウェイも命の大切さを言いたいのかもしれないけれど、そもそも森の民も海の民も農耕民族には見えず、狩りをして暮らしているんだろう。
喰うために生物を殺すことにどう折り合いをつけているんだろうか。弓の練習として笑いながら射られた魚たちには、憎しみの感情がないということなんだろうか。
CMにマーメイドが出てきたから、こんなことを考えるのかもしれない。
キリは植物学者とエイワの子どもだと思うが、次作にはその能力を存分に発揮するんだろう。
今回も家族の危機を救ったが、4人の危険な状況はわかっていそうなものなのに、結末は見えているかの達観したような対応で子供らしくはなかった。神々しさの表現ならわかるところだけど。
兄の葬儀というかエイワに帰す儀式が戦闘後に催されるが、残念ながら命を落としてしまった人たちはもっとたくさんいたんじゃないの。
海の民は儀式の対象外なのかしら。
大佐は大佐で人質を何回も捕まえては、そのたびに逃がしている。
確保の仕方もワンパターンで手すりに手錠でつないで放置。そしてナイフで切られて逃げられる・・・。部下も何とか言ってやればいいのに。
そして次作はさらに復讐に燃えてパワーアップして帰ってくるんだろう。どこかで改心してほしくはないけど、スパイダーとキリ次第で嫌な感じがする。
長時間も長時間で、美しい自然を描いていた。
そしてそれらは空想上の物たちで、すさまじいテクノロジーを駆使してフルCGで仕上げているという不合理さだ。電源を落とせば動かない。
キャメロン監督は自分の中でどのように整合性を取っているんだろうか。
トム・クルーズが、バイクに乗ってノルウェーの崖からダイブする映像を、大画面で観られたのが収穫で、これで★1
アバ体験なんて寒いタグの時点で自分には合わないかもと気づけばよかった。さようならパンドラ。もう二度と来ません。