劇場公開日 2022年12月16日

「ウェイ・オブ・シアター」アバター ウェイ・オブ・ウォーター かなり悪いオヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ウェイ・オブ・シアター

2023年4月13日
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前作『アバター』からかれこれ13年経って完成にこぎつけた本作。36年ぶりの続編『マーヴェリック』が大ヒットを飛ばした後だけに、満を持しての公開といえるだろう。前作のファンタジックな世界観に魅了され、仕事をやめ現実逃避した若者が続出したとかしないとか。パンデミックの影響で製作中止になった6ヵ月間、キャメロンは深海探査に没頭していたという。このまま探検を続けるか、それとも製作現場に戻るかで、真剣に悩んだほどだったらしい。

そんなジェームズ・キャメロンの“海愛”が炸裂している1本なのである。鯨やアシカに似た海洋生物たちと意志疎通し合った子供たちが、海中を縦横無尽に潜航するシークエンスの長いこと長いこと(合計30分以上はあったかな)。フルCGであることをしばし忘れるほど豊かな水の質感、海水のうねりにたゆたう海藻や小魚、海中に差し込む美しい陽光の煌めき....巨匠キャメロンはもはや“海の虜”であることが如実に伝わってくるのである。

キャメロンが深海探査に夢中になっていたちょうどその頃、地球温暖化による異常気象や天変地異が地球各地を襲い、世界中の家族はパンデミックで出禁となり、シリアやウクライナからの移民流入問題が深刻化していたのである。暗いニュースを見聞きした巨匠は浦島太郎状態からふと我に返るのである。「俺はここ(映画界)に残って(社会問題と)闘わなければならない」と。

スカイピープルによるパンドラ生態系破壊にジェイク一家へのリベンジストーリーを絡めながら、ふりかかる困難に立ち向かう家族の結束を高らかに歌い上げたキャメロン。追っ手を逃れ“移民”となって海の民の村に身を隠すジェイク・サリー(サム・ワーシントン)一家や、みんなと一緒ではないことにどこか疎外感を覚えている登場人物たちが大活躍するストーリーは、『ターミネーター』でもお馴染みだ。

そして、転覆しかけたマザーシップ上で繰り広げられる救出劇は、あの『タイタニック』へのセルフオマージュとみてほぼ間違いないだろう。聞けば、この『アバター・シリーズ』、合計5作品を予定していて3はすでに撮影終了済、4が最も面白いとの予告までしてくれている。。ある意味、深海という現実逃避場所から“I will be back”宣言したキャメロンだが、はたして巨匠の神通力が現代にどれだけ通用するのか、お手並み拝見といこうか。

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かなり悪いオヤジ