「"ドルフィン・マン"の死の真相は誰にも解らない」ドルフィン・マン ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ MPさんの映画レビュー(感想・評価)
"ドルフィン・マン"の死の真相は誰にも解らない
自分の肺だけを頼りに100メートルの深海へと下りていくフリーダイバー、ジャック・マイヨール。人はよく、彼をイルカと対話する男"ドルフィン・マン"と呼ぶが、実際はどんな人物だったのか?このドキュメントは、幼い頃、佐賀の唐津を訪れた時に出会った海女たちに魅了されて以来、素潜りをするようになったマイヨールが、以後、世界を放浪しながらダイバーとしてレジェンドになるまでを、本人の映像と写真、所縁の人々の証言を頼りに検証していく。自然を愛し、海を愛した男が、丘では、決して上手に生きられなかったこと、また、彼の名前を一躍有名にしたリュック・ベッソンのマスターピース「グラン・ブルー」が、結局、その自然児としての在り方を損ねてしまったこと、等々、映画は皮肉な現実も隠すことなく映し出す。それでも尚、ジャック・マイヨールの死の真相については、謎のままだと、筆者は感じる。想像することは簡単だが、決めつけるのは危険だし、第一、それは"ドルフィン・マン"へのリスペクトに反する行為だからだ。ファンの眼底に永遠に残り続ける、ブルーの海を下へ下へと下りていくマイヨールの姿が、一層愛おしく感じるネイチャー・ヒューマン・ドキュメントだ。
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