「リアリズムとスピリチュアルが混在する慈愛の物語」わたしは、幸福(フェリシテ) MPさんの映画レビュー(感想・評価)
リアリズムとスピリチュアルが混在する慈愛の物語
経済状況も治安も最悪の街、コンゴのキンシャサで、バーのシンガーとして日々マイクに向かうヒロイン、フェリシテの、まず、一見疲れているようで,実は現実を受け容れていこうとする強い目線に釘付けになる。アフリカン・ミュージックがなぜ人々の心をかくも揺さぶるのか?そこには限りなく乾いた大地と、そんな自然との語らい、そして、人々のおおらかさが凝縮されていることを、この物語から読み取ることが出来る。厳しい日常と対峙しながら、夜になると精霊に導かれるようにして森や湖に分け入り、その都度生まれ変わったかのように再生されていくフェリシテ。リアリズムとスピリチュアルが混在する物語からは、神から命を与えられたすべての人々への慈愛がこぼれ落ちて、見終わると何とも幸せな気分になれるのだ。
コメントする