スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
全364件中、41~60件目を表示
観た
オレンジジュースのシーンは、いいシーンですよね。ああいう、一発で決まる絵は、映画ならではの醍醐味だなぁ、って思います。
この映画は、他の方のレビューを読んで、「俺って、ほんとに少しのことしか感じ取れてないんだなぁ」と、痛感させられた作品です。特に、浮遊きびなごさんや、ぐうたらさんや、MPさんのレビューは、目から鱗でした。なんか悲しく感じる一方で、「ここでレビューを読めば、気づかずにいたことまでわかるんだ」という喜びも再確認という感じです。
いつか必ずちゃんと感想を書く。
映画史上最も泣かせるオレンジジュース
映画史上最も泣かせるオレンジジュースが登場するんだけど、劇場ではすすり泣きの声も聞こえたし、実際感動的。でも、ラストも含めて納得いかない気持ちは残った。えっ、それで赦されるのかと。答えはそれぞれだろうけど、自身の憎しみと非寛容と向き合う2時間。
【”怒りは怒りを来す” アメリカミズーリ州の架空の田舎町の出来事を通して現代アメリカの抱える病巣を見事に描き出した作品。】
◆今作は、現代アメリカの”負の地域に焦点を当てた”傑作である。 ー
”観光のみで成り立っているミズーリ州の死んだような田舎町を舞台にした、不毛で哀しい物語。”
・娘を殺された激しい怒りを抱えた土産物店を営む、母親ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)と、誠実なそして自ら病を抱えた警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)の切なすぎる遣り取り。
・ウィロビーを慕うかなり短絡的なディクソン巡査(サム・ロックウェル):彼の姿は”ミズーリ州”で起こった白人警察官による黒人青年射殺事件を容易に想起させる。
そして、彼は粗暴ではあるが、独身で母親と暮らす”ABBAのチキチータ”を愛聴し、カウチに座りTVの劇映画を虚ろな眼で見ている男である。
・ミルドレッドが田舎町の三枚の空き看板に
”赤地に黒文字で記した強烈なメッセージ”
の掲載を求めたエビング広告会社の若き経営者を演じたケイラブ・ランドリー・ジョーンズの軽薄な姿(「ゲット・アウト」や「バリー・シール」での怪演振りも記憶に新しい)も、今作の舞台である”ミズーリ州の死んだような田舎町”を象徴している。
・ミルドレッドの息子ロビー(ルーカス・ヘッジス:田舎町の青年を演じさせたら右に出るものなし!)の自らの未来が見えない、遣る瀬無い想い。
・病を抱えていたウィロビーは暴力的なディクソン巡査の中のある理由による”善性”を信じ、妻とミルドレッドとディクソン巡査に彼の深い想いを込めた手紙を遺す・・。
・警察署長ウィロビーと、ミルドレッドの相手の立場、境遇を分かった上での、公園での会話。
・警察署長ウィロビーが遺した手紙がミルドレッドとディクソン巡査にもたらしたものとは・・。
<熟達した名優二人と有望な中堅、若手俳優達が織りなす重厚なヒューマンドラマ。
現代アメリカ社会に対しての警句も強烈に効かせたマーティン・マクドナー監督の辣腕が冴え渡る見事な作品である。>
<2018年2月1日 長野県の劇場にて鑑賞>
<その後、別媒体にて鑑賞。鑑賞後の深い余韻は変わらず・・。>
上手いのは分かる
映画として上手いというか、最高レベルに上質なのは分かる。
ラストシーン、そういう着地の仕方で感動させられるのかって斬新さもある。
特にディクソンの成長は個人的にすごく感動した。
ただね、日本人の自分としてはやっぱりちょっと「よその国のこと」感があるというか。
もちろんアメリカの問題を描いてる作品だから当たり前なんだけど、
すごくキリスト教的な世界観とか、キャラクターの行動原理みたいなものに
共感しにくい部分が最後まで気になった。
田舎の警察署長が、馬を2頭も飼えるほど裕福なのか?とか
あの看板を思いつきで燃やすって、灯油かなにか常に持ち歩いてんの?とか
ちょっとメタファーを詰め込みすぎて、嫌味になっちゃった印象。
繰り返すけど、映画として上質なのは間違いないし、感動的でもあるんだけどね。
日本でもスリービルボードの物語が現実に起こりました
極めて抑制されていながら圧倒的な演出と演技
とんでもない名作としかいいようがありません
静かに深く圧力を高めていく怒り
強烈な印象か残りました
お話は復讐です
罪を購わせるために行動しないものは犠牲者が殺されるのを見ていながら見ない振りをしたと同じだと告発する物語です
映画のお話、アメリカの南部のお話
ついこの間まではそうでした
しかし今は違います
日本でもスリービルボードの物語が現実に起こりました
東池袋での痛ましい暴走事故
何人もの人々が轢かれ、母と子ども達は死にました
しかし犯人は逮捕されないのです
犠牲者の夫がはじめた犯人への厳罰を求める署名運動は正にスリービルボードです
正義が成される為に行動する
深い怒りに共感します
感動に震えました
魂を揺さぶる名作
個人評価:4.8
魂を揺さぶる名作。
わずか2時間に満たない作品だが、全ての登場人物が人間味にあふれ、魂が燃えている。心に訴えかけるような演技は、すべてにおいて嘘がない。本作でオスカーが2名出ているのも納得である。
1人の少女の死が、南部の田舎で暮らす人々の人生を狂わせ、燃えるような魂のぶつかり合いへと向かう。人間讃歌がこの作品にはある。
最後のアイダホに向かう車中での2人の会話。
「どうするかは道々決めればいい」。
人生の哲学を物語るような締めくくり。いつまでもしめつけるよう心に刺さる。
わかりやすくないところが魅力の映画
全体の雰囲気とかそれぞれの場面、演技がよい。
怒りは怒りしか生まない、このへんが一番わかりやすいテーマのようで、しかし、そう思って見てると、それだけでもなさそう。テーマを簡単に決めつけないほうがよいのかもしれない。
主人公の心の傷を埋めようとする行動が、まわりの人間を不幸にしていく側面を持っていて、ただ、主人公の救いを描いているわけではない。署長、その家族、広告屋、警官など、がとばっちり。しかし、その後に許すことも描いている。ラストもその両極のあいだをどっちつかずで漂って終わる。。
まあ、そんな、わかりやすくないところが魅力の映画。
オセロ
アカデミー作品賞は受賞できなかったが、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞、サム・ロックウェルが助演男優賞、ウッディ・ハレルソンもノミネートされていた。今回の受賞は、まさに正鵠を射ていると思う。
良いは悪いで、悪いは良い
これは、映画にも出てきたシェークスピア作品のセリフ。
善人はこの世で多くの害をなす。
彼らがなす最大の害は、人びとを善人と悪人に分けてしまうことだ。
・・と1年、下書きを放っておいたことに気づいた。
サム・ロックウェルがブッシュJr.をみちゃったため気づいたのだった!笑
陥りがちな人生の縮図
主人公のミルドレッドの雰囲気は好きじゃない。
主人公や登場人物の一つ一つの行動は
良くないと分かっていても、
したいと思う気持ちはわかる。
だがそれをしたって結局ハッピーエンドにはならないということ。
人間の中にある感情を表現してくれている映画だった。
ヒューマニティーのコントラスト
人間の愚かさと、強さをコントラストとして描いた良作。
この映画を語るなら、どうしても”Fargo”を話しておかなければならない。コーエン兄弟の最高作品とも言われる、人間のあまりフィーチャーされない人間臭さをテーマにした作品。その”Fargo”もミズーリの田舎町ファーゴを舞台にしている。
この映画は、その2017年代版。コーエン兄弟に劣らない強烈なキャラクターの作り手。ストーリーはささいなことを巡ったあまり現実では考えられないような暴力の誇張された世界を描いています。この作品のすごいところは観ないと伝わらないコメディとドラマ。
キャラクターを築き上げるうえで、大切なのは、疑問と解決。シリーズものでない限り、映画の中でのキャラクターは最初は誰も知らない。「このキャラクターはどういう人物なのだろう。」「何を考えているのだろう。」など視聴者は必ず疑問から入ります。その疑問でどこまで振り切れるのかというのは脚本家の力だと思います。視聴者を遠ざけるような、意味不明の言動を避けながらありきたりな、見たことのあるようなキャラクターを避け、ユニークかつ興味の湧くキャラクターを最初の30分で作り上げられるかがとても重要。この作品はそれが完璧。超有名な超実力派の俳優たちをキャスティングし、リッチなキャラクターを作り上げていました。どのキャラクターも100%愛せるわけではなく、どこか他の人と違った感情のツボがある。タイトルにもなっている3つの看板を建てたメインキャラクター、ブチギレて向かいの看板屋の青年をボコボコにし、窓から突き落とす警官。その少し視聴者からは距離の遠いキャラクターも、町外れの小さなエリアで起こる事件やいざこざを通して少し不器用にも交わることで、人間らしさ、表には見せない人の良さというものが現れてきます。その絶妙な距離感とコントラストがとても好き。
どこまで現実なのかはわからないが、このようにフィクションであることは観ていてわかるのに、映画を見ている途中には、そのフィクション感を忘れている自分がいるのが、エンドロールに気づかされる。その映画を映画として観れる映画が好き。
すべての人を愛する
「復習はしない」
「隣人(すべての人)を愛する たとえ敵であっても」
というキリスト教の教えと同じ考え方を扱った映画ですが、宗教的な部分はなく、押し付けがましいところもありません。
この映画に出てくる中心的な登場人物は、良いところと悪いところがある普通の人というより癖の強い困った人です。ですが、彼らが上記の考え方を実践すると・・・。
皆が相手を批判したり攻撃するのではなく愛を示し助ければ、どんなに良い世の中になるでしょうね。単純な理屈ですが、それを強く印象付ける映画でした。
本当に良い映画です。
現代のアメリカを象徴する映画
久しぶりに骨太のいい映画で心に染みました。
「今」のアメリカをいい意味でも、最悪な意味でも映し出しているような気がした。
正しさ、誤り、生きて行くこととは何かを問いかけて来ます。
ラストも個人的には、人それぞれが選択することだと伝えている気がした。
またひとつ、何度も観たくなる映画が増えました。
予想を裏切る見事な展開
先入観からくる予想が次々と覆されて、ラストまであっという間でした。
決してわかりやすい話ではないのですが、後味は悪くなく見事な脚本に拍手喝采したい気分。
アメリカ南部の閉鎖的コミュニティ、ヒルビリーと呼ばれる層を通して、登場人物達が実に人間臭くよく掘り下げられているのも見どころに感じました。
全364件中、41~60件目を表示