スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
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それぞれの信念
もっと、なんて言うのかな…『イカツイ暴力的な母親』の『執念に憑かれた暴走』が描かれているのかと想像していたよ。
それに連鎖して町の住人とその暮らしが狂い始める…って感じの、バイオレンス色の強いサスペンスだと思ってたから、
漂う陰の空気に『次はどんな事件が起こるんだろう?』という緊張感をもって観てたんだ。
けど…起こった最大のコトは『事件』じゃなかったね。
登場人物それぞれの関わり方や心情に、丁寧に向き合った人間ドラマだったよ。
多くを怒りに支配されていながらも、ミルドレッドから自然と滲む『ただの母親』の表情。
末期ガンと死に向き合った時でさえも、周囲を思いやることを優先するウィロビー署長。
彼の死によって、自分の中の正義を取り戻すべく突き動く警官ディクソン。
それぞれの『信念』が作用しあって起こす行動・起こる出来事に、納得させられるんだ。
意外性に驚く部分もあるんだけど、それは決して違和感ではなく『心地好い裏切り』。
それを経験した上で、視点を変えてもう一度観賞したら、きっと感じるモノや深さが違ってくるんだろうな…と思う。
両手を上げて大絶賛!というワケではないけど、
記憶とココロに投げ込まれた『温かい何か』を確かに感じるよ。
また観ようっと!
追)
振り返ってオイラ、やっぱりアイツは真犯人だと思うんだ。
新任署長がなんかゴタクってたけど、アレ隠蔽なんじゃねぇ?との気持ちが拭えない…そうあって欲しいのかもしれない。
もしそうだとしたら、アイダホに向かう2人にかけたい言葉も変わってくる。
怒りは怒りを来す(これは覚えた。)
『どやった?映画』嫁さんに聞かれた
『うーん。。。眠くなれへんけど難しいわ。
どいつもこいつも なんやねん!
ラストそんな終わり方なんやぁ
て ゆう感じ かな』
『ふーん。何ゆうてるか解らへん。』
(レイトショーで観客5人 て
人気ないねんなぁ)
(この作品がアカデミー賞候補なんやぁ)
(レビュー見て勉強しよっと!)
まだ自分には早かったかもしれない。
本当に作品に引き込まれました。まず出てる俳優が本当にうますぎる。特にサムロックウェル。 ただのバカな警官の時から後半の演技にかけて目つきも変わりあっかんでした。彼の作品をもっと観てみようと思いました。そしてウッディハレルソンの存在感はいつも通りすごいです。
そして一つ一つの表現に込められた意味が深すぎて、、まだ20歳の自分には一回の鑑賞ではすべての意味を理解することができませんでした。 復讐とは、憎しみとは、正解は何なのか。なのであと二、三回はみに行きたいと思います。
そして音楽の凄さ、、圧倒でした。
アカデミー賞に多数ノミネートしてることで気になって鑑賞しましたが、想像のらるか上をいく作品でした。 久々ものすごい作品に出会いました。
怒りの赤と善意のオレンジ
いやはやなんとも複雑な味わいの映画でした。
や、『小難しい映画』という意味ではなくて、
特定のジャンルに括ろうとしたり、雰囲気を
一言で表すのが非常に難しく思えるという意味。
全編ブラックでシニカルなユーモアに満ちているが、
そんなユーモラスなシーンが次の瞬間スリリングで
バイオレントなシーンに変貌したり、かと思えば
涙が出るほど繊細なシーンに変貌したりと予測不能。
多数のキャラがわちゃわちゃ絡み合うのに物語は
混乱しないし、笑えて楽しいが怖く悲しく空しくて、
だけど最後にはどこか温かな気持ちにさせてくれる、
なんとも複雑な映画、そして、なんだか凄く良い映画。
...
とんでもなく口汚く短気でタフな母ミルドレッド
を演じたフランシス・マクドーマンドは圧巻!
以前にアカデミー賞を獲った『ファーゴ』の
優しい警官と同一人物とは思えない豪胆さで
笑い所も泣き所もかっさらう。
黒人もメキシコ人も共産主義も嫌いなド鈍い警官
ディクソンを演じたサム・ロックウェルも見事で、
色々とヒドい彼が終盤で見せた勇敢さに鳥肌!
そしてウディ・ハレルソン演じるウィロビーも……ここは後述。
...
娘を殺された母親が立てた広告看板をきっかけに
小さな街で巻き起こる、怒りの複雑連鎖反応。
犯人への怒り、権力への怒り、非難への怒り、
人種への怒り、暴力への怒り、母への怒り、
ミルドレッドの怒りはあらゆる類の怒りを呼び、
ウィロビー署長の手紙が登場するまでの間は
しっちゃかめっちゃかの大混戦状態。
けれどミルドレッドの怒りの矛先は、犯人を逮捕できない
警察だけでなく、娘を最期に酷い言葉で送り出して
しまった彼女自身にも向けられていたような気もする。
愛娘を奪った犯人を憎む気持ちがまず第一とは思うが、
ひょっとしたら彼女は、周りからどれだけ罵られても、
それは自分が娘にした仕打ちに対する避けがたい罰で、
それを甘んじて受けながらでも、娘の為に犯人を
探す責任があると感じていたんじゃないだろうか。
元々タフな性分だったらしい彼女も無敵では
無く、近しい人からの批判はやはり堪えるし、
名指しで批判したウィロビーに対しても、
どこかで申し訳無い気持ちは抱いていた気がする。
ひょっこり現れた鹿の前で泣き崩れてしまう場面。
彼女は必死で『タフでなければ』と耐えていたのかも。
...
ミルドレッドの怒りはあらゆる人々に伝染し、そして
誰も彼もがその怒りに任せて他の誰かを攻撃した。
とんちんかんだがイノセントなペネロープの
『怒りは怒りを来(きた)す』の言葉通り、
誰かの怒りを受け取り、それを誰かに受け流す
だけじゃ、怒りの連鎖はどこまでも止まない。
だがウィロビーは――名指しで批判され、人生最期
の時間を汚されて最も怒りを覚えたはずの彼は――
誰にも怒りをぶつけなかった。それどころか、
その人生の最期を汚した張本人を気遣う言葉を残し、
彼女が責められないよう広告費まで支払った。
更に、誰からも溜め息を吐かれるような暴力警官
の奥底にある優しさを見抜き、伸ばそうとした。
ミルドレッドの怒りをぐっと堪えて受け止め、
それを善い力に換えて、ディクソンへと継いだ。
それが、死に際のウィロビーが最期に成したこと。
ウィロビーの遺言を読んだ後、病室で、
自分を心底憎んでいるはずの相手から
オレンジジュースを差し出されたディクソン。
彼が本当に生まれ変わったのはあの瞬間だったと思う。
必要なのは、一番憎い相手へ、
オレンジジュースを差し出す気持ち。
...
ミルドレッドの娘を殺した犯人は捕まらなかったし、
ミルドレッドとディクソンは別の悪党を殺そうとしている。
勿論これはハッピーエンドとは言い難いのだが……
それまでになく穏やかに見える二人の表情。
怒りはきっとまだ抱えているのだろうけど、
最初の煮えたぎるような勢いはもう無い。
引き返すか、何か別の手を考えるかは分からないが……
なんとなく、あの二人はもう大丈夫な気がする。
怒りは何も生まないから怒るな、なんてのは土台
無理な話で、怒らない人間なんてこの世にいない。
だが、その剥き出しのエネルギーをもっと
前向きなものに換えることなら出来る。
怒りの赤を善意のオレンジへ。
何だったら、ストローも差してあげて。
<2018.2.3鑑賞>
重かった
もしかしたら寝ちゃう系の映画かと思っていたのに、
やり場のない怒りとか、緊張感とか、驚きとか、寝る暇なかったです。
そして、「ああ、ここで終わっちゃうのか」という終わりかたも、
想定内のような不完全燃焼のような。
とにかく見終わってからも何かしら考えてしまう映画でした。
私なりの結論は、「赦すこと」がテーマの1つにあったのかなと。
レッドのオレンジジュースの場面を思い出してそう思ったのだけど、ミルドレッドは娘に言った事に対して一生自分を赦せないだろうし、でも、彼女がした事を赦す相手もいるし、彼女もDVの元夫をワインボトルで殴らなかったし、他にも、愛する人に自殺されてしまった家族は彼を赦せるのだろうかとか。
そんなふうに足りない脳みそで考えてしまうほどのインパクトがあり、良い映画を観たなと思ったのでした。
個人的主演女優賞&助演男優賞
娘をレイプ殺人された主演女優さんと、対立するゲイの警察官役の男優さんの演技が素晴らしかった。そして、単なる復讐映画にはなっていないし、味方vs敵という単純な人間関係では無いストーリーが秀逸。
ということで、脚本賞もあげたい作品です。
フランシスマクドーマンド
ファーゴぶりに
パンチの効いた役柄でした。
お腹まわりに
貫禄ついた
サムロックウェル
最初は悪だったけど
後半
めっちゃ良い奴に‼︎
カッコイイ〜
レストランで
看板放火の元旦那
(セッションズの人とは思わなかった)を
ワインボトルで
シバいてほしかった...
でも
それじゃカッコ悪いか…
あの
犯人でしょ
あれ違うの?の
アイダホナンバーの輩が
ミルドレッドの働く雑貨屋さんに来て
詰め寄るシーン
ゾッとした(怖)
ウディハレルソンの
奥さんが(ジオストームの美人さんだった)
手紙を届けに来てくれて
間一髪助かった‼︎
ハラハラしたよ〜
善人はなかなかいない
事前知識なしで観たが重いテーマだった。米国の田舎は今でもこんな感じなのか。
悪い奴・良い奴というわかりやすさが無くカタルシスを得る映画でも無い。観客の予想を裏切っていく見事な脚本。リアルな人間の本質を描く。遅効性でジワジワと。正解は己で考えよ的な問いかけ。
役者はみなイイが特にウッディ・ハレルソンのキャラが印象深い。
だが、個人的には合わなかったな。俺はハッキリ片をつける映画が好きなのだろう。
結局なにも解決していない
犯罪は必ずしも解決するわけじゃないという理不尽さみたいなものはあっていいわけで、別にそういう終わり方がダメだというわけじゃないけど、ラストの締めくくり方はちょっと意味不明。怒りや憎しみという感情にとらわれ一度は過ちを犯した被害者の母親と、元警官の2人が共鳴して、なぜか今回の事件とは関係のない人物を殺そうとするわけなんだが、そうする意味も伏線も無いわけなので正直、なんで...?ってなる
賛否両論な結末じゃないですか
考えさせられるストーリーではありますが。
何を考えるかの幅が広いかもしれませんね。
でも、人は自分が思っているのとは、違う思考をしているんだ、ということをことごとく思い知らされる作品です。
2017年のラグビーボール
シナリオはラグビーボールのようにはねていて飽きさせない。
登場人物は、一癖あって練られている。
観ていて、感情的には寅さんに近いものがあった。
音楽は、風景と心情と、そのどちらにもいい感じに効いている。
観たあと、良識と信念について考えさせられて、心に残る映画だと思う。
ストーリーについて、
ただの広告看板で、何人もの人生が大きく変わり、話が大きく意外な方向に転がっていく。
シナリオを描くとき、最初と最後はある程度決まってる事が多いと思うが、この映画はどうだったのだろう。
書いていてキャラが勝手に動き出したとしても、バッドエンドがハッピーエンドに変わるような変更はあっても、出来事そのものが完全に変わるという事は少ない気がする。そういう意味で、この映画どうやって書いたんだろう?
どんでん返しでも無いし。
まるで、北海道から沖縄を目指したトラック運転手が途中で飛行機のパイロットになって北朝鮮に行ってしまうくらい違う事してる。それでも、そんなに違和感なく観れる。(火事のシーンは流石に違和感あったけど)それは、登場人物たちに信念があるから、強引に共感させられているのかもしれない。兎に角、新しい映画体験が出来た。マーティン・マクドナーさんがどうやってこの話を作ったのか知りたい。
内容についての感想は、
主人公は、信念を持っていたが、信念を持たない人には一向に理解されず、実際に非合理的な行動を起こし、自分を追い詰めていく。
ただ、彼女の自傷行為のような行動は、根底は全て他人の為ということ。分かり合えたのは敵であり、死を覚悟していた署長。それと、最後にもう一人だけ。
ラスト、悲しみと罪の意識を抱えた2人の魂の邂逅が、希望を生んだところは感動した。あの瞬間は、出会いこそが生きる喜びだと知らしめてくれた。
道々決めようと車を走らせる2人の姿は逃避行でもあり、生きる希望への旅路でもあるように思えた。
出来事の整理
通る人の少ない田舎道の立看板。
その立看板に、警察署長へのメッセージを出した。
メッセージは彼女の娘がレイプされ焼死体で発見されたが犯人が見つかっていないのに警察は黒人をいじめてばかりではないですか?というもの。
憤慨する警察官たち。
警察署長は人望があり、彼女は、医者や牧師など、権力者から目の敵とされる様になる。
彼女の同僚が警察に捕まったり、歯医者で不当な扱いを受けたりする。
さらに悪い事に、警察署長は末期ガンであり、家族を苦しませない為に自殺してしまう。
その事で、町中を敵にまわす主人公。脅迫や、嫌がらせが日常になる。
同じく、署長を信奉していた差別主義者の警官が、広告屋を半殺しにする。
差別主義者の警官はクビになる。
そうしているうちに、看板が燃やされてしまう。
彼女は差別主義者の警官が犯人と思い、復讐と称して、夜中に警察署に火炎瓶を投げ込む。
タイミング悪く、差別主義者の警官が署長からの手紙を読みに警察署にいたが、彼はイヤホンをしていて火事に気づかない。
彼は、署長の手紙により正義に目覚めていた。
だが、正義に目覚め、気付いた時には火の海であり全身に大火傷を負う。
しかし正義になった元警官は、火事の中レイプ事件の資料だけは守る。
その瞬間を見て悲しむ主人公。それでも強い信念からか犯行は否定する。
正義の元警官は入院するが、同室に半殺しにした広告屋がいて、しかも彼に優しくされる事でさらに正義化し、過去を悔いる。彼は退院後、飲み屋でレイプした後火をつける事がやめられないと自慢する男に出会う。正義と過去の罪の意識により、自らを犠牲にしてDNAを採取し、警察に渡す。
また、主人公に犯人を見つけたと連絡する。
しかし、人違いだった。
だが、レイプ犯である事は間違いないと考えた男は、主人公を誘ってその男に会いに行く。
主人公も同意する。
二人とも、辛かったんだろう。
レイプ犯を殺しに行く途中、主人公は放火したのは自分だと告げる。
元警官は、あんた以外に誰がいると笑う。
そして、レイプ犯を殺したいかと聞かれ、お互いにあんまりと答える。
道道決めようと車を走らせる姿は逃避行でもあり、生きる希望への旅路のようにもみえた。
登場する誰もが、いい、悪い、と役柄を断じられない二面性をもっている...
登場する誰もが、いい、悪い、と役柄を断じられない二面性をもっている。あたりまえだが。誰にも感情移入しにくいのに、共感する。そしてラストは、また違ったところにポーンと連れていかれる。謝らない人たちの毒々しさに、気持ちを揺さぶられる。面白い!
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