劇場公開日 2018年2月1日

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「「悪い冗談」のような傑作」スリー・ビルボード ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「悪い冗談」のような傑作

2018年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

良い意味で言うのだが、悪い冗談のような作品だ。登場人物のやることなすこと、ほとんどすべてが上手くいかず、想定外の帰結を呼ぶ。結末もあさっての方向に着地していると言って良い。そんなことをしてなんになるのだというような感じだ。

にもかかわらず、救いを感じさせてしまう。確かに人間はそういうものだ、という深い納得がある。

フランシス・マクドーマンドが主演だからというのもあるが、コーエン兄弟の『ファーゴ』を思い出した。狂言誘拐で少し身代金を取ってやろうと思いきや、やることなすこと裏目に出て、とんでもない殺人事件に発展していく。

アメリカの田舎の閉塞的な人間関係の描写を本質と観てもよいが、それだけではない凄みがある。主人公が見かけたシカはなんだったのか、自殺する警察署長の傍らで悠然としている2頭の馬など、異様に人知を超えた何かを感じさせる。人の努力とは別のところで運命は決定づけられているような、そんな奇妙な白日夢を観た気分だ。

杉本穂高