劇場公開日 2018年2月1日

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「子を思う母の強さを感じました。」スリー・ビルボード 松村 訓明(まつむら のりあき)さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0子を思う母の強さを感じました。

2018年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

難しい

ストーリーは、レイプされて殺された娘の母が、犯人を捜すべく3枚の広告に警察に対するメッセージを記載したことで住民の間で様々な軋轢が生まれて話が流れていくという内容です。その広告に記載した内容は、次のとおり。

「娘がレイプされ殺されたが、犯人はまだ捕まっていない。ウィロビー署長、どうしてですか。」

このウィロビー署長は誠実で人当たりも良く、住民からも好感を持たれています。また、ガンを患っていて死期が近いのです。そのため、署長を慕う住民がその母に看板を取り下げるよう申出をしますが、母は、「犯人をしっかり捜してくれればよいだけ。その責任は署長にある」と意に介しません。母の目的は、娘が殺されて7ヶ月が経過したが、捜査が進んでいるように見えず、このままこの事件が忘れ去られてしまうことを恐れたようです。私もその気持ちは、分かります。事件、事故又は震災であっても片が付いていない(解決していない)状態であっても、人々の脳裏から忘れられてしまうというのは、恐ろしいことであると思っています。

ただ、今回の事件は証拠が犯人のDNAしかなく、また前科もないためなかなか犯人を捕まえるのは難しい状況なのです。

一般的に犯人を捕まえようとする目的は、私は二つあると思っています。一つは、罪を償わせること、もう一つは、他の人に危害を加えるのを防ぐことです。今回の事件のように性犯罪であれば、犯人が他の人に危害を加える恐れがかなり大きいと思っています。そのため、早く捕まえないと犠牲者が増えてしまいます。

多くの人は犯罪に関わり合いたくないと思っています。平穏な生活を送りたいと思っています。しかし、往々にして理由なく巻き込まれてしまうことがあります。その時でも明るく、前向きに生きるしかないと思っています。いつまでも気にしていてもいけないと思っています。私も偉そうなことを言っていますが、現実にそのような状況になったときにはどうなるのかわかりません。

今回の映画は、子を思う母の気持ちが痛いほど伝わってくる映画です。犯罪に巻き込まれたときにどう生きればよいのか考えさせてくれる素晴らしい映画ですので、時間の許す方は、是非、ご覧になってください。

松村 訓明(まつむら のりあき)