「他人にとっては枝葉のこと。二ノ宮隆太郎にとっては違う」枝葉のこと eさんの映画レビュー(感想・評価)
他人にとっては枝葉のこと。二ノ宮隆太郎にとっては違う
公式サイトにある山下敦弘監督のコメントが一番しっくり。
良いとか悪いとかじゃなく、いろんな説得力に満たされた映画だった。とにかく画面に釘付け。主演の佇まいが“一人初期北野映画”のようだった。
本編ではほぼ何の説明もないので、あらすじを読んでから観るほうがいい監督主演作。脚本と編集も役名もそのままなので私小説を映像化ということか。
横浜市二俣川が舞台で自身の父親までそのまま出演させるとは。
二俣川がどんなところなのかよく分からないが、乗り換えはするが関内まで20分と隆太郎がめんどくさがるほど郊外でもないような。
ただ劇中に駅はまったくでてこない。
道路の感じからすると昔からある住宅街という雰囲気。大きな道も出てこないのでさほど便利そうな街にもみえない。
飲んだくれている立ち飲み屋「国民酒場じぃえんとるまん二俣川店」は実在する。
底辺に生きているが27歳だけに人生を諦めているわけでもないが一応周りとも付き合いながら、それでもお前らとは違う!と腹の中で考えているのがたまに口をついて出てしまう。
服装こそヤンキーっぽいが鬱屈した感情を暴力で爆発させるでもなく理性的、知的な部分もみえる。おばちゃんのおかげか継母のおかげか弱者に優しくする一面も。
おばちゃんを亡くしもっと前に母を亡くしいよいよ疎遠になった父しか肉親がいなくなった隆太郎が父親に投げつける言葉が自分に返って来て痛い。
大人になって親に「昔あんたにあんなこといわれた、あんなことされた」となじるのはやっぱりよくないなと思った。
親も完璧じゃない、完璧な大人が親になれるわけじゃないと大人になると分かるのだから。
ちんこもさらしセックスも自慰寸前までもさらして自分の人生を枝葉のことと銘打って映画化する度胸に感服。
何もないといってしまえる中身なのに114分飽きることがなかったのが才能ってことなのか。
次にどんな映画を作るのか気になるがハードルが上がりまくってるだけに・・・
パブスナック絆の2人の女子が良かった。
おばちゃんまで本人が出てるのかと思ってビビったが女優さんでホッとした。