「映画「狂い華」」狂い華 富士見屋さんの映画レビュー(感想・評価)
映画「狂い華」
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オムニバス形式のサスペンスホラー映画。
一作目は「呪いうつり」。
作中に何度も登場する母の霊に対する、その娘(作中のヒロイン)の佇まいが印象的だった。幽霊を母だと感じ、次第に受け入れていく心情の機微が丁寧に描かれていた。幽霊を「恐怖」だけで終わらせず、母娘の愛情ともとれる関係が見られ、作品に深みを感じた。良作。
二作目は「ワルツ」。
「呪いうつり」をホラーの王道に例えるならば、「ワルツ」は変化球だろう。POV方式で撮影されており、作品内でのリアリティと緊張感を引き出すことに成功している。芝居と現実とが入り混じり、出演者たちも分からなくなる過程がリアルに感じられた。ただ、POV独特の揺れが強いので、酔いやすい人は視聴に注意が必要。
三作目は「優しい日常」。
日常に潜む狂気を独特の演出で撮った作品。音楽のセンスが抜群で、日常生活に散りばめられた狂気を増幅させている。作風なのか、観客に作品を委ねている感があり、人によっては鑑賞後、消化不良を起こすかもしれない。短編よりも長編で観たいと思える作品。
三作品の監督にそれぞれこだわりを感じ、劇場に足を運んで良かったと思えた。
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