「命の繋がりを感じました。」Vision サチコさんの映画レビュー(感想・評価)
命の繋がりを感じました。
脈々と繋がれた命。
男と女がいて新しい生命があり、死がある。大樹が切り倒され材木になり、また新たな苗木が植えられる。
生と死。破壊と創造。
切なくも愛しい、悲しくも幸せな物語だった。涙が止まらなかったです。
『vision』とはアキと鈴が触れていた大樹の聖霊的なものなのかな…と。
人に宿り、宿主に997年の命を与える。宿主であるアキは997年生きて自身の役目を終え、死期を悟り、自分の死後に『vision』の宿主となる鈴が大樹の元に引き寄せられ現れるのを知っていた。
元々、アキはジャンヌのお腹に宿った命が次の『vision』の器だと知っていたし、ジャンヌ自身もお腹の子が特別な使命を持った子だと解っていた。だからアキに赤ちゃんを託したのではないだろうか。赤ちゃんに「さようなら」を言うシーン…切なかった…。
ジャンヌの『痛み』はかつて恋人を亡くした事であり、我が子を手離した事。
時を経て、想い出の地、美しい吉野の山で岳の面影がある智と心を通わせて、鈴と再会する……本当に感動しました。
ラストシーンで見つめ合ったジャンヌの瞳と鈴の瞳の色が同じだなと思ったら涙が止まらなかったです。
あと、トンネルにも触れたい。あのトンネルは『胎内巡り』を表しているでしょ。アキがカツカツと颯爽にトンネルを進んで行く姿にグッと来ました。あとコウね…。コウが死ぬと思っていなかったから、トンネルを駆けていく姿を観て「行っちゃダメ!戻って来て!」と叫びそうになった。
鈴にはコウの死期が分かっていて胎内巡りをさせてあげたかったから綱を解いて自由にさせてあげたのかな。
長々と勝手な解釈を書いてしまいました。色々と矛盾もあるのでしょうが、私にはこの解釈の仕方が一番しっくりきました。
心に残る映画です。もう一度観たい。