「お元気な頃のウォルフィー」プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
お元気な頃のウォルフィー
大沢たかおさんにちょっと似てる俳優さん。大きな目が印象的なモーツァルトです。
ギョロ目と 大きな鼻です。
時おり「肖像画」にゾッとするほど似ている表情を見せてくれました。
映画は少々期待外れで星を減らしましたが、映画を観たあとに聴いたカーラジオからの「クラリネット協奏曲イ長調」。その馥郁さと多幸感には、もはや星など付けられません。
先の名作、あの「アマデウス」を超えるのは矢張り至難の業だったのでしょう。テンポが冗長ですし、脇役たちがどうにもならない大根だったのは残念。
「アマデウス」においては、モーツァルト本人は、軽薄にして度を超えた能天気さで物語を撹乱。後半では迫りくる自らの死と戦いながらの楽曲制作。彼は蒼白の、死相の出た形相でペンを握っていた。モーツァルトの最期の日々は、鬼気迫る演技だった。
他方こちらは、いまだ壮健で 作曲の仕事にも、社交にも、そして恋にも、乗りに乗っていた頃の“安定期"のモーツァルトです。
欧州中からの名声の誉をバックにして、創作と、旅行と、恋愛に邁進していた頃の彼です。
だから物語の進行もゆっくりで慌てていませんし、スリルも無い。モーツァルト本人についての見どころが希薄。
そこが、僕が星を減らした理由です。
けれども、
そんなモーツァルトであっても、我々が忘れてはいけないのは
上り調子でいまや絶高潮の彼も、実はたった35歳という耳を疑う早い死を迎えた人間だったということ。つまりプラハの「ドン・ジョバンニ初演」の後 4年で没したということですね。
もっとたくさん生きて、恋も、そして“鞘当て"もしていてもらいたかった。
けれどこんなに短くとも、これほどたくさんの天上の音楽を遺し、充実の人生を送ったところが、彼の天才であることの証でしょうね・・
モーツァルト 35歳
シューベルト 31歳
フォスター 35歳
メンデルスゾーン 38歳
滝廉太郎 24歳
本作、プラハの街や王宮での撮影です。やはりその街の空気や絢爛豪華な室内、そしてオペラ歌唱の音響を存分に楽しむためには、やはり劇場・映画館での鑑賞がベターかと思われます。
脚本と監督の采配が力足らずだったのですね、
せめては主人公だけでも、もっともっと突出して魅力的な人物として描かれていれば、観客側としては良かったのですが、
邦題を改題するならば
「サロカ男爵とモーツァルト」か。
とにかく男爵のキャラクターが最強過ぎ。
それ以外の全員が平均的で目立たず、凡庸な物語の運びで残念でした。
俳優、特にモーツァルト役が男爵には負けており、音楽にも追いついていない気がする。
エンドタイトルに流れるのは
Laudate Dominium ラウダーテ ドミニウム
K.339
Laudate Dominium K.339
いい曲ですね♥
『アマテラス』の『レクイエム』も別の意味で良かったと思いますが、この曲の方がモーツァルトぽいなぁって僕は思いました。
共感ありがとうございます。
Kazu Annさん
こんにちはー
「オペラ対訳プロジェクト」で検索してみて下さい。
リストがずらりと表示されます。
「М」の項目でモーツァルトの欄を見つけると
「ドン・ジョバンニ」も
「フィガロ」も、一流の演奏に日本語字幕が付いたものをYouTubeで観劇出来ます。
とても良い仕事をしているプロジェクトです。