劇場公開日 2017年12月1日

  • 予告編を見る

「ゴシックホラーの大道」フォロイング R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ゴシックホラーの大道

2025年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

完全なホラー作品
原題名は「ゴーストハウス」 この日本でのタイトルに込められているのが、海外で「良い人に見える人」にのこのこついて行くことを表しているのだろう。
さて、
このホラーは、悪霊という一般的概念でありながら、かなり脚本が練り込まれていて面白かった。
タイが舞台と聞いて思い出すのが「ザ・ビーチ」
自然の美しさと誰も知らない楽園の島
西洋人にはタイという国は特別な、つまりミステリアスな場所なのだろうか。
特に本作はホラーだけに何もかもが暗く怪しく描かれていた。
この、呪いが他人に「渡される」ことで、自分が助かる構造は「リング・らせん」のようでもある。
ホラー特有の危機からの脱出方法である「それ」は、人間の無力を象徴している。
本作では、この方法を使わずに婚約者を助けるという主人公の西洋人らしからぬ正義感が光っていた。
彼・ジムは空港に出向き、騙した連中に一発かましたいと思っていながら、逆に首を絞められ落とされる始末。
この部分の間抜けさと、最後に自身の指を切り落とすのは素晴らしいコントラストで、彼の本気度が伺える。
特に「自分自身の大切なもの」である「血肉」=指を切り落とすことは、悪霊が求める呪いと苦しみに対する犠牲としてよく機能するのだろう。
この人間の本気こそ、悪霊に対する最大の武器なのかもしれない。
そこに目を付け、物語を作ったのはホラーの根幹であって非常によかった。
ホラーであっても、矛盾を描くと怖さも面白さもなくなるが、この物語はよく出来ていた。
タイ版のエクソシスト
偽ではないが「本物ではない」リノという男が登場するのもいい。
そして原題の「ゴーストハウス」はタイの祠を意味する英語
ゴーストは精霊に近い存在
それらが不要となり捨てられる場所
まるで最近見た「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」と同じ。
そして本作の脚本は、このような要素を上手に抽出しながら物語を作りこんでいったのだろう。
ゴゴという運転手 キーマンの設定も良かった。
これは、ホラーの中心をまっすぐ表現した作品だった。

R41
PR U-NEXTで本編を観る