「韓国映画の無限的可能性」殺人者の記憶法 レプリカントさんの映画レビュー(感想・評価)
韓国映画の無限的可能性
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少年期に父を殺めたことをきっかけに必殺仕置人的な連続殺人犯となった(この時点でリアリティーに無理あり)主人公が交通事故をきっかけに認知症的脳障害を負い、殺人を続けながらも溺愛して育て上げた一人娘の恋人が新たなる連続殺人犯であり、記憶障害と闘いながらその殺人犯から娘を護ろうと孤軍奮闘する様を描いた本作。正直、設定に無理がありすぎて物語に入り込めないのではないかと思ったが、知らないうちに作品に没入している自分に気づく。大抵の監督が演出したなら物語が破綻するであろうそんな設定にも関わらずみせるみせる。名優ソルギョングの圧倒的演技力と存在感のなせるわざも勿論だが、ファイ悪魔に育てられた少年でも証明されたように韓国映画のそのポテンシャルの高さが本作でも証明された。どんなに大風呂敷を広げようとも必ず全ての伏線を回収する能力は韓国映画が世界一ではないか。とにかくこんなむちゃくちゃな設定でもちゃんと登場人物一人一人の心理描写を丁寧に行い、説得力を持たせて感情移入させてしまう、その手腕は見事という他ない。記憶障害という点を生かせばもっとどんでん返しを狙えたかもしれないという点で星ひとつ減らしたが、本作はこれはこれでなかなか楽しめる作品ではあった。
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