永遠のジャンゴのレビュー・感想・評価
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ロマ迫害の一歴史
たとえ音楽が
自分を知っていたとしても
この命あってこその音楽だ。
雪にまみれたギターが物語る。
そして何度観てもまた涙。
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2018.1.6 新宿武蔵野館にて2回目
世間知らずの音楽馬鹿の演奏が
世間の憂さを忘れたい聴衆を
熱狂へと導く様の享楽よ。
やがてジャンゴの意識に
否応なく滲み入る戦争の本質。
レクイエムに
そして踞り目頭を押さえる母の姿に
またしても涙を誘われた。
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2017.12.17
ヒューマントラストシネマ有楽町にて1回目
泣けた泣けた。
ラストシーンを思い返すと
未だに涙腺が弛む。
レイシズムのなんと愚かなことか。
ロマそのものが刻み込まれたような
気丈なお母さんに笑って泣かされる。
レクイエム
ジャンゴラインハルトの伝記映画のつもりで観に行ったが、良い意味で裏切られた。
大戦中に迫害・虐殺されたロマへのレクイエムが主題であり、彼らがそこに確かにいたことを描いている。
ホロコーストのユダヤ人の映画はごまんとあるが、ロマのことは滅多に描かれない。彼らには今も語るすべがないから。
ドイツ軍人はスウィングも、弦を手で弾くこともシンコペーションも禁じ、ソロは5秒以内など様々な禁止事項を並べ立てる。制約の中演奏するジャンゴたちと次第に高まっていく観客のグルーブ。あの場を止めるような人生は送りたくないものだ。
お母さんが商売っ気があって可愛らしい。
足首の鈴
野口英世ばりな障害を負いながらギタープレイには驚かされるし凄まじい。
ナチに対する細やかな抵抗、猿が可愛かったし可哀想で粋のある足首の鈴。
W・アレンの「ギター弾きの恋」に名前だけ出て来て印象はあったが知識は無くこんな運命を歩んで来た人物なんだなぁと。
ジャンゴ自身の人物像や活動はあまり深く掘り下げられていないような毎年公開されるナチス映画に添付されて出来た感もする本作!?
ジプシーの生き様にジャンゴの音楽に興味が湧き個人的にこれから掘り下げようと思う。
演奏シーンは最高だけど…
演奏シーンが予想以上に良くて、全体のストーリーが予想以上に良くなかった。ジャンゴという音楽家の背後にはロマという巨大な存在があるということはよく理解できる。しかし、最終的にジャンゴというよりもロマというところに焦点が移っていっているような気がして、少し期待を裏切られた感じがした。
でも演奏シーンの表現は最高だった。演奏テクニックの表現から、奏者の表情の表現に至るまで、きめ細かく音と映像が紡ぎ合わされていて、思わず(心が)踊ってしまった。
演奏シーンは大変に素晴らしく
「ヒトラーの忘れもの」をはじめ、今年に入り「ヒトラーへの285枚の葉書」 「ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦」なども大変に良かったので、ここ最近上映される第二次世界大戦のドイツモノは、知らない事での発見などがある為に、本作も大変に楽しみにしていました。
また、本作品の主人公になるジャンゴ・ラインハルトも名前ぐらいしか知らなかったので、音楽好きとしても内容に大変に興味がありました。
本作品、演奏シーンは大変に素晴らしく、思わずこちらものってしまう程良く出来ていました。
強いて言うのなら、演奏シーンももっとあればもっと楽しめたのですが、映画のテンポがいまひとつ私には合わず、流れがあまりにも遅いかな・・・しかし、当時のヨーロッパの戦争事情も本当に愚かですね・・・
見ていて何とも虚しさにかられました・・・・
主演を演じたレダ・カテブは役者魂全快で素晴らしかったな・・・
1943年フランス。当時、ドイツ政府は欧州制覇の為に、ユダヤ人、共...
1943年フランス。当時、ドイツ政府は欧州制覇の為に、ユダヤ人、共産党員、ソ連軍捕虜といった様々な民族へ弾圧を行っていたが、特に、同じアーリア人のルーツを持つロマ族に対しては「劣等民族」として、ユダヤ人以上の迫害を行っていた。そのロマ族の血を引くベルギー出身の天才ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトは、家族と共に居住地域を変えながら、演奏で生活をしていたが、度々、ドイツ派遣部隊の弾圧に遭い、身分証でロマ族と知れると不当逮捕されたあげく「ドイツ人将校達の前で慰問演奏するなら、自由にしてやろう」と言われる。プライドが許さず憤慨したものの、ジプシー狩りが激化したことを受けて、ジャンゴは家族を守るために、スイス亡命と引き換えに地元レジスタンスと取引を行い、慰問会に参加することにした。ジャンゴが情熱的な演奏を奏でている裏で、レジスタンスが負傷した英国兵を逃すのだ。優雅で美しい旋律はやがて激しい旋風へ。この音色はジャンゴの復讐の音色だ。ドイツ人達はその熱気にやられ、徐々に、そして激しくフロアーを踊り回る。
混沌とした時代だからこそ音楽の力を思い知る。音楽の前では民族の垣根なんてない。仲間思いで、音楽に愛されたジャンゴ。戦争が終結するとレクイエムを作曲した。
ロマ族には様々な才能に長けた人達がたくさん居たが、多くの芽が戦争という狂気に摘み取られていってしまった。歴史上では『ポライモス』と命名されている。戦争がなりを潜めている現在でもロマの生きづらさは変わっていないという。
「俺は音楽を知らないが、音楽は俺を知っている」
このセリフが1番ガツンときた。きっと仲間はもとより、全ての人々に音楽を通して、自由に生きることを鼓舞していたんだと思いました。体たらくな姿があっても音楽に対しては真摯だったジャンゴ。とてもカッコよかったです。。
これはジャズ映画ではない。
ジャズギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの伝記映画というよりも、ナチスに迫害されたジプシーたちの悲劇を、ひとりのジャンゴという人物を通して表現した作品です。
ですから、リー・モーガンを扱った『私がモーガンと呼んだ男(私が殺したリー・モーガン)』や、チェット・ベイカーを題材にした『ブルーに生まれついて』のような演奏も楽しめるジャズ映画を思い浮かべると肩すかしを食らいます。
まあ、中身は悪くないですが、ジャズに関しては期待しない方がよいでしょう。
音楽が予想以上にすばらしく、演奏の場面では、思わずこちらも体が揺れ...
音楽が予想以上にすばらしく、演奏の場面では、思わずこちらも体が揺れ足が動き出し、実際の会場にいて聴いているように錯覚するほど。
ジャンゴを演じたレダ・カティブさんはギター未経験ながら本作出演にあたり特訓したとのこと。演奏シーンでは弦を押さえる左手の指がアップになる場面が何度もあり、監督がおっしゃるところの彼のエアジャンゴっぷりは、完璧でした。
ドイツ将校のパーティーでの演奏を頼まれたとき、「ブルースはダメ」「ベースは弓で弾け」「シンコペーションは5%まで」などと細かな条件をつけられたのには、思わず笑ってしまいました。案の定、細かな条件はお構いなしのジャンゴたちの演奏に、パーティーの客たちは盛り上がりますが… 。
そのあとの教会でのオルガンのシーン、ラストのシーンは胸がギュッとなりました。
もともとジャンゴの音楽は好きでアルバムを数枚聞いていたけれど、恥ずかしながら、ジャンゴの民族的なルーツ、活動当時の時代背景、指のことなどは、この映画で初めて知りました。
映画を観た後で改めてジャンゴの曲聞き直してみると、映像が蘇ってきて、ちょっと違った印象を受けました。
音楽が与えてくれる高揚と癒し
てっきり、ジャンゴの一生を描いた映画だと思っていたので、ステファン・グラッペリとの出会いなんかを楽しみにしていましたが…
本作は第二次世界大戦中の二年間のジャンゴを追った物語で、一人のアーティストを通してロマ民族への迫害と、その犠牲に対する鎮魂を描いた素晴らしい作品でした。
見所は、何と言っても演奏シーン!!
初監督作品とは思えない臨場感で、思わず体が動き出し、あたかも映画の中の観客と一緒にその場で聴いているかの錯覚に陥ります。
一曲終わるごとに拍手したくなること請け合い!
ギターとバイオリンを重ねたジプシーミュージックとジャズを融合させたジャンゴの音楽は、時代を越えて現代でも人々の心を惹きつけて離しませんが、
得も言われぬ高揚感と一体感をもたらすジャンゴの音楽をプロパガンダに利用しようと、当時のドイツ軍が近づいてきます。
ユダヤの人々に比べると、語られることの少ないロマ族への迫害ですが、
そもそも領土を持たないロマには戦争という概念自体が無く、戦争はあくまでも自分達とは外の出来事だと思っていたことを初めて知りました。
そんなロマ出身のジャンゴは、たとえ見世物ギタリストと思われていようが、そんな差別はペロリと呑み込み、自由に演奏することで皆んなが喜んでお金が貰えるウィンウィンの関係に満足していたように思います。
しかし、戦争の影はジャンゴだけではなく、ロマ族にも及び
身内のロマ族が移動を禁じられ、何よりも大切な民族の自由を奪われたとき、ジャンゴは初めて自分の置かれている立場に気づき…
陣取り合戦に飽き足らず、国を持たないユダヤの人々と領土を持たないロマの人々を迫害した大戦の卑劣さを知ると同時に、差別と迫害について考えさせられました。
無知が故の差別も許しがたいのもだけど、人の生きる権利を奪う迫害は絶対にあってはならない。
ラストは楽曲に対する驚きと、深い感動に包まれました。(ネタバレ自粛)
《監督のトークショーより》
劇中で使われる音源は「ローゼンバーグ・トリオ」の演奏ですが、
ジャンゴのバックバンドを演じているみなさんも本物のミュージシャンで、もちろんジャンゴの曲はソロのタイミングから何から完璧に入っている方々だそうです。流石!
逆に、ジャンゴを演じたレダ・カティブさんはギター初心者だったとのことで驚き(*⁰▿⁰*)
監督曰く「今、エアギターでジャンゴをやらせたら彼が一番だろうねww」
苦悩や葛藤の中にもユーモアが漂う魅力的なジャンゴでした。
本当のロマ族の方も多数ご出演なさっていて、アドリブたっぷりの現場だったそうですが
「ギャラをあげてくれたらもっとやるよ。」はジャンゴの母親役のロマのばーちゃんが実際に監督に言った一言だそうです(*^ω^*)b
《余談》
ジャズ仲間と行ったデュークエリントン生誕100周年の野外ライブ(当時はフェスとは言わない)でステファン・グラッペリの演奏を生で聴いたのですが、とにかくマイペースなジジイで笑えました。
自分のパートが終わったら、フラッと下手に入ってしまい。しばらく経ったところで、またフラフラと舞台を歩き回っては、おもむろに弾き始める。
この映画を観て、ジャンゴと同じ自由なスピリットを持つ最高の相棒だったことを改めて痛感しました。
サントラ必須です!
サントラがほしくてほしくて。。しょうがなくなる作品でした。
ラストの幻の曲の復元!これだけでもジャンゴファンには垂涎です。
物語としては、ナチスのジプシー狩り時代のジャンゴ・ラインハルトを追ったもので、ジャンゴの栄光と苦悩・葛藤を丁寧に描いていました。
ジャンゴの音楽は知っていましたが、この当時の様子は知らなかったのでとても興味深かったです。
そして何より、お母様最高です!
業突く張りだけどとてもキュート!音楽を愛し、ジャンゴを家族を愛し、笑い踊り泣く。。。この方が素人さんだなんて驚きです。
レダ・カティブさんをジャンゴ足らしめたのはこのロマ族のお母様の力が大きいのではないかと思いました。
音楽家の映画は音楽に気が行きがちになり、成立が難しいことが多いですが、脚本がしっかりしていたので、音楽も物語も楽しめました。
監督さんが初監督でここまでの作品をつくられたというのですから、圧巻です。とても興味深い映画でした。
迫害されたロマ族と命を繋いだ音楽
第二次大戦中にヨーロッパで人気を博したジャズギタリストのジャンゴ・ラインハルトのナチスから迫害を受け、追われていた2年間を描く
ナチスドイツの民族浄化といったら、ユダヤ人を思い出すけれど、ロマ族(ジプシー)もまた、ナチスドイツに迫害されていた人たち
ここで描かれるジャンゴもロマ族の人で、彼と彼の家族がナチスドイツから逃げるように移動し続ける様子が描かれる
ロマ族へのナチスの迫害に対して、これ程スポットライトを当てて作られた作品もなかなかないんじゃないかと思う
そんなジャンゴを支え、助けていたのが彼の演奏する音楽で、いかつい顔したドイツ兵も、彼の演奏にはつい身体を動かして踊ってしまう
そうして彼はドイツ兵を喜ばせながら、その場をしのぎ、命を繋ぎ続ける
この音楽が本当に素敵で、ギターの音に癒されるし、その音にうっとりする
ジャズが好きな方や、興味のある方には、ぜひ観て欲しい作品
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