「惹き込まれる人間ドラマ」泣き虫しょったんの奇跡 monoさんの映画レビュー(感想・評価)
惹き込まれる人間ドラマ
クリックして本文を読む
主人公は将棋の天才ではなく努力の人である。中学時の大会でも早々に敗退し、奨励会の時も真面目に将棋に取り組まなければならないのに、どこか本気になれず、遊びに時間を費やし、その結果プロにはなれていない。もがけばもがくほど泥沼に嵌る様はリアルに人間らしい。
応援してくれた父、夢であったプロ、色々なものを失って原点である将棋を心から楽しいと思う心に気づき、本気で将棋に打ち込む。大器晩成という言葉があるように人間はいつ結果を出すか分からない。主人公のように時間がかかってから成果をあげるパターンもある。その時にその人を受け入れられる世界でなくてはならない。
そして多くの人の応援を乗せたプロ試験戦は駒を指す音に気持ちが現れていた。駒を棋盤に打ち付ける音はどうして心に響くのだろうか。日本の歴史を感じさせる音である。
クライマックスも余韻を残す終わり方で素晴らしく、総合的に欠点が見当たらない作品であった。
コメントする