「遠赤外線的ほっこり映画」泣き虫しょったんの奇跡 aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
遠赤外線的ほっこり映画
豊田監督の作品は、初鑑賞でしたが、とても好印象。
こういうジンワリ暖かな作品を撮れる方は貴重です。
実話との事ですが、夢があって良い話です。「聖の青春」、「3月のライオン」など、最近将棋の映画が多いですね。一見地味ながら壮絶な勝負の世界は、やはりドラマの舞台として面白いのです。
しかし本作は、丁寧に「しょったん」の少年時代からの将棋漬けの半生を描いていく。朴訥な主人公の役に、松田龍平がぴったりハマる。
実際は色々あったのだろうが、周りの人々がみな、さりげなく主人公を応援してくれる、ほのぼのとした物語に仕上がっている。
エピソードが多いのでそれぞれの見せ場は短いのだが、各場面の伏線が綺麗に編み上げられて、本編に取り込まれていくタイミングや、回想の出し方、バランスが絶妙で、心地よい。
それにしても、この作品、出演者がすごい。脇を固めるどころか、組体操のごとくガッチリ締まって、土台が揺るがないほどだ。
松たか子から始まり、國村隼、小林薫、イッセー尾形、妻夫木聡、板尾創路、新井浩文、早乙女太一、上白石萌音などなど、藤原竜也まで出てくるあたり、関ヶ原クラスの時代劇かと思うくらいのキャスト陣だ。
それでいて、変に大作っぽくなく、無理な盛り上がりや変な見せ場はなく、ストーリーをきちんと見せていく所に、とても好感を持てた。老若男女問わず、楽しめる映画だと思う。
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